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「グッチ」や「ヴァレンティノ」のビューティは、デザイナー交代にどう向き合うのか?

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「グッチ」や「ヴァレンティノ」のビューティは、デザイナー交代にどう向き合うのか?

中国に引きずられる形で停滞している売り上げの回復や、値上げが続くバッグ&シューズに代わるエントリーアイテムの開発、ライフスタイル化や全方位戦略に基づくカテゴリーの拡大などを目指し、ラグジュアリー・ブランドのビューティ強化が加速している。今年は、ライセンス提携するロレアル(L'OREAL)が「プラダ(PRADA)」のメイクアップとスキンケアを日本でも発売。ロレアルは「ミュウミュウ(MIU MIU)」ともライセンス契約を交わし、来年にはフレグランスを発売予定。メイクアップも近いのでは?と言われている。対するコスメメーカーのコティ(COTY)は、「グッチ(GUCCI)」とのライセンス契約で手掛ける「グッチ ビューティ(GUCCI BEAUTY)」の百貨店カウンターを日本にもオープン。同社は「マルニ(MARNI)」や「エトロ(ETRO)」ともライセンス契約を締結した。ブランドの性格上、「マルニ」はカラーコスメとの相性が良さそうだ。一方、上述の通り右肩上がりの時代が終わり、ファッションの世界ではトップデザイナーの交代や、世界観の変更などのテコ入れが相次いでいる。ライセンスのビューティブランドは、イメージの発信役を担うファッション側の戦略変更にどう対応するのだろうか?今後、変更や検討が迫られそうなブランドを考察した。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月19日号からの抜粋です)

サバト体制の新リップを発売も
「グッチ」は未だミケーレの世界

足元の動向、特に高額消費をけん引してきた中国市場の大ブレーキが影響して、ファッションの世界ではトップデザイナーの交代に象徴される変革が続いている。例えば一足早く中国市場で過渡期を迎えた「グッチ」は、在任7年の間に同ブランドの売上高を約3倍とした立役者のアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の代わりにサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)を起用して大改革を進めている。

端的に言えば、装飾主義のブランドから「クワイエット・ラグジュアリー」の代表格へ。そんな変革がファッションの世界で進む中、「グッチ」とライセンス契約を結ぶコティは「グッチ ビューティ」から8月21日、“グッチ ルージュ ア レーヴル マット グッチ ロッソ アンコーラ”を発売する。新クリエイティブ・ディレクターのサバトによる初のリップカラーだ。象徴的な深いレッド、通称“ロッソ アンコーラ”は、ブランド創設者のグッチオ・グッチ(Guccio Gucci)がポーターとして働き、レザーグッズとラゲージのブランドを立ち上げるという志を抱いた、ロンドンのザ・サヴォイ ホテルのエレベーターを彩っている色が着想源。サバトは新生「グッチ」のデビューシーズンとなった2024年春夏以来、この色を多用しキーカラーとしている。

GUCCI

(IN)SABATO DE SARNO
(OUT)ALESSANDRO MICHELE

とはいえ、「グッチ ビューティ」全体もサバトの色に染まっていくか?と言えば、そうではない。例えば同ブランドは、現在香水市場で盛り上がっている4万〜5万円程度のウルトラ・プレミアムな価格帯の商品として“ザ アルケミスト ガーデン”を手掛けているが、このシリーズの原案は前クリエイティブ・ディレクターのミケーレだ。ミケーレは17-18年秋冬シーズン、「錬金術師の庭」と銘打ったコレクションを発表している。ボトルデザインやビジュアルも、サバトではなく、ミケーレの世界観だ。既存品も、多くはミケーレ時代のデザインのまま。大丸心斎橋店と高島屋大阪店に構えた店舗も、強烈な個性は希釈したがミケーレ時代の世界観を踏襲したように思える。

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