東京のファッションシーンはクリエイションへの熱で溢れている。世界を見据えてショー発表の時期を早めたブランドや、これまでとは異なる手法でコレクションを披露するブランド、スタイリストやDJの肩書を持つデザイナーが新たに始めるブランド、フェミニンな世界観をメンズ服に拡大させたブランドなど、“服を作る”という目的は共通しながら、そこに至るまでの思いはさまざまだ。東京ブランドを取り巻く最新ニュースを紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月19日号からの抜粋です)
NEWS
「ダイリク」「チノ」「ヨーク」は
今季ショー開かず
過去にショーを実施してきたものの、今季はその選択を取らなかったブランドも多い。岡本大陸デザイナーによる「ダイリク(DAIRIKU)」は、映画をモチーフにした服作りの岡本デザイナーらしいオリジナル映画での発表を選んだ。作品は現在制作中で、テーマは“A SPACE ODYSSEY(宇宙の旅)”。同名の作品や「ガタカ(GATTACA)」など複数のSF映画が着想源になっている。コレクションは、アメカジにSFディテールを加えたり、ウエア2着をドッキングした大胆なパターンだったりと、ますますデザインの強さに磨きがかかった。茅野誉之デザイナーの「チノ(CINOH)」は、ショーの代わりにイメージ動画に力を入れたという。赤レンガ造りで質実なムードの早稲田のスコットホールギャラリーで撮影し、実直に服作りを行う空気感を表現した。最新コレクションでは、前回と同様に“ミニマルな装飾性”を意識。“しわ”をドレープやストライプ柄に見立てるなど、製造過程の産物を装飾と考える。寺田典夫デザイナーの「ヨーク(YOKE)」は、国内売上高が過去最高額を記録。秋をめどに直営店の出店を予定しており、今後は海外での発表も視野に入れ、まずは1月のメンズ期間にパリの展示会への復帰を目指す。コレクションは、アメリカ人画家のウルフ・カーン(Wolf Kahn)の風景画を再現したという色鮮やかなニットや、写真家の水谷太郎の作品をジャカード生地に落とし込んだバルカラーコートなど、アートを起点にしている。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。