コロナ禍中に一気に盛り上がったゴルフ市場。20〜30代の若年層や女性のエントリー層が急増したが、コロナ禍の収束と共に「バブルは終了した」などと言われることもある。とは言え、コロナ前に比べれば市場はもちろん活況で、元に戻ったわけではない。今特集では、ゴルフ市場をここからさらに面白くしようと挑戦するブランドや小売店などを取材。ゴルフ市場の今後を展望する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月26日号からの抜粋です)
矢野経済研究所によると、国内のゴルフ用品市場規模は2022年に3092億円を記録。3000億円台を突破したのは2001年以来の21年ぶりというから、コロナ禍のゴルフブームの勢いの大きさを感じさせる。23年も、コロナ禍中の2ケタの伸び率に比べると大幅減速ではあるものの、3184億円(調査時点では予測値)と伸ばしている。ギアもウエアも原料高騰や円安に伴って値上げを実施しており、それに起因する面ももちろんあるが、コロナ以前に比べれば市場が拡大しているのは事実。「バブルが崩壊した」などと悲嘆するような状況ではない。
“接待“から仲間で楽しむものへ
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、ゴルフ場の利用者はコロナ前の19年が929万人。20年は外出制限で891万人に落ち込んだが、21年は1025万人、22年1053万人、23年1050万人と、19年との比較で約120万人増えている。20年以降に新たにゴルフを始めた「新規参入及び休眠復活ゴルファー」は、矢野経済研究所推計値で約110万人。23年7月時点で既にやめてしまった「早期リタイヤゴルファー」は「約2割程度存在する」というが、逆に言えば、今も続けている層が一定いるということだ。
ゴルフ専門店「ゴルフ5」を運営するアルペンで、ゴルフ事業を統括する岡本眞一郎常務執行役員兼商品本部副本部長は、「コロナ期間を通し、ゴルフをプレーする環境はよりカジュアルで、フレンドリーになった。“接待ゴルフ“といったかつてのイメージから、今は若い世代が気の合う仲間と楽しんだり、奥さまたちが女性だけでラウンドしたり、70代以上がゆったりと回ったりと、多様化している。だからこそ、十把一絡げに市場を語るのではなく、それぞれのニーズに対応していくことが大切」と語る。
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