そごう・西武労働組合によるストライキから8月31日で丸1年を迎える。従業員の抵抗むなしく、そごう・西武は投資ファンドに売却され、旗艦店である西武池袋本店の不動産はヨドバシホールディングス(HD)の所有になった。現在、同店は大規模な改装工事中で、ヨドバシカメラの大型店の出店に伴い、百貨店区画は半分に減る。インバウンド(訪日客)や富裕層の旺盛な消費によって、大都市の百貨店が業績を伸ばす中、そごう・西武は異例の道を進む。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月26日号からの抜粋です)
「こんなに閉まっているとは思わなかった」。西武池袋本店を1年ぶりに訪れたという女性は戸惑った。北館・中央館・南館の計8万8000㎡の広い売り場面積のうち、8月半ば時点で営業しているのは半分くらいだったからだ。改装を知らずに訪れた人は面食らう。
大規模な改装工事は、池袋駅の改札に近い一等地にヨドバシカメラが出店することに伴うものだ。押し出されるかたちで百貨店区画は4万8000㎡にほぼ半減する。バブル期には年商4000億円以上で売上高日本一の座に君臨し、最近まで伊勢丹新宿本店、阪急本店に次ぐ3位のポジションにつけていた西武池袋本店の姿は大きく変わる。
大家のヨドバシが一等地に出店
昨年9月1日、セブン&アイ・ホールディングス(HD)は子会社だったそごう・西武を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却した。フォートレスが事業パートナーとして迎えたヨドバシHDは、西武池袋本店の不動産を2000億〜3000億円を投じて取得した。池袋においては、そごう・西武はヨドバシHDに家賃を払うテナントの立場になった。大家であるヨドバシHDは、本業のヨドバシカメラの方に良い場所を求める。
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