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連載 ロサンゼルスで活躍するクリエイターの秘密 第2回

リアーナとの仕事で“魂”を認められチーム入り LAで活躍するヘアスタイリストYuichi Ishida

PROFILE: Yuichi Ishida/ヘアスタイリスト

Yuichi Ishida/ヘアスタイリスト
PROFILE: (ゆういち・いしだ)1986年5月3日生まれ。日本出身でロサンゼルスに10年在住し、20年以上のキャリアを積む。日本とアメリカで美容師免許を取得し、アジア人として独特の感性と手法を活かしたヘアスタイリングを得意とする。クライアントはローラ、米倉涼子、渡辺直美をはじめ、ソフィア・リッチーやパリス・ヒルトン、リアーナ、クリスティーナ・アギレラら。また、「ルイ・ヴィトン」「ディオール」「ジバンシィ」「フェンティ」などのキャンペーンを手掛ける

レッドカーペットやハリウッド、映画や音楽、ファッションの煌びやかな世界と大自然が共存する大都市ロサンゼルス。世界のエンターテイメントの発信地であるこの地へ、日本からさまざまなクリエイターが移住している。ロサンゼルスに移住して3年、スタイリスト歴23年の水嶋和恵が、ロサンゼルスで活躍する日本人クリエイターに成功の秘訣をインタビュー。多様な生き方を知り、人生やビジネスのヒントを探る。第2回はヘアスタイリストのYuichi Ishidaにロサンゼルスで築いたキャリアやワークライフバランスについて聞く。

幼少期からの姉のヘアアレンジが仕事に

水嶋:ヘアスタイリストになった経緯は?

Yuichi:姉が2人いるのですが、物心ついた時から彼女たちの髪をいじっていました。まるで2人の専属ヘアスタイリストのようでしたね。そこから、友達のヘアアレンジも増え、自分の中で当たり前だったヘアスタイリングが今の仕事につながっています。高校を卒業した18歳、専門学校か大学への進学、就職という選択肢の中で「自分は何が一番好きなのだろう」と自問し、当たり前のようにしてきたヘアに関することが好きで、苦にならないことに気づきました。ファッションも好きなので、ヘアとファッションに携わる仕事にひかれました。また、当時憧れていた先輩が美容師になったことにも影響を受けています。それまでは理容院通っていましたが、先輩の勤める美容院に行くとヘアサロンの煌びやかで、華やか、そして洗練された空間に大きく影響を受け、そんな場所で働きたいと思いました。そして美容学校へ入学、卒業をしました。

水嶋:その後、渡米するまでのキャリアは?

Yuichi:まず美容師として働き出した時、交換留学生が来ることがあり、初めて外国人とコミュニケーションをとりました。その際に、日本で教わったスタンダードなヘアスタイルを施すと、「ありがとう」の一言はあるものの、反応がイマイチだったんです。それがずっと引っかかっていて……。それから、海外のヘアスタイルを意識し始めました。海外では一人一人がとても個性的で、その個性が尊重されています。自分に出来ることがもっとあるのではないか?と思い、すぐに行動に起こし、米国にあるヘアサロンに雇って欲しいと片っ端から連絡をしたんです。そしてハワイに渡米することになりました。

直感を信じて勢いでロサンゼルスへ

水嶋:最初はハワイでキャリアスタートをされたのですね!ロサンゼルスに移住したきっかけは何ですか?

Yuichi:ロサンゼルスを選ぶチャンスがきたからです。ハワイのヘアサロンでサロンワークをしていたのですが、自分が想像していた”海外で働く自分”の像と少し違うと思っていました。日本でヘアスタイリストをしたとしても、ハワイでしていることと同じことが出来ると感じてしまったんです。そんな時、友人から「ロサンゼルスに行ってみたら?」と言われました。23歳の時でした。ロサンゼルスに移住したことがターニングポイントになったと思います。

水嶋:ロサンゼルスでは、具体的にどのような仕事をされていますか?

Yuichi:美容業界でさまざまなことに取り組んでおり、プロダクション(撮影現場)でのヘアスタイリストの仕事、美容室でのサロンワーク、また米国ではメジャーとされる“ハウス・コール”(出張ヘアスタイリスト)の依頼も受けています。ロサンゼルスはエンターテイメントの中心地。エンタメ業界で”ヘア”に関わるサービスが必要な場面で、それをクリエイトすることをしています。

リアーナの仕事が転機に

水嶋:今までで特に印象的だった仕事について教えてください。

Yuichi:ローラさんや渡辺直美さん、冨永愛さん、米倉涼子さん、フワちゃん、ローランドさんをはじめ、エンターテイメントの地であるアメリカで活躍する日本人アーティストたちとの仕事には刺激を受けました。また、アーティストで歌手のリアーナ(Rihanna)さん、クリスティーナ・アギレラ(Christina Aguilera)さんとの仕事はとても印象に残っています。彼女達はグローバルでもトップに君臨しているアーティストで、職場の雰囲気も洗練されていて、現場にいる一人一人が皆プロフェッショナル。そんな一流の現場に身を置けて良かったと思いますし、ミュージックビデオの撮影にしろ、雑誌の撮影にしろ、毎回鮮明に印象に残るプロジェクトです。リアーナさんのブランド「フェンティ(FENTY)」のチームとしてビューティやスキン、ヘアの撮影も手掛けています。

水嶋:今のポジションにたどり着くまで、どれくらいの時間がかかりましたか?

Yuichi:1年目からチャンスに恵まれたんです。ロサンゼルスに移住して、最初に働いたヘアサロンの顧客が、リアーナさんの担当メイクアップアーティストだったんです。その方がさまざまなプロジェクトに誘ってくださり、後にリアーナさんとの撮影に呼んでいただき、そのままチームの一員に。人と人との繋がりで今があります。とてもラッキーだったと思います。米国は、結果を出せば認めてもらえるし、受け入れてもらえます。魂で見てくれている。なので、働きがいがあると感じています。リアーナさんと初めて仕事をしたのがロサンゼルスに来てから4年ぐらいの時でした。2年ほどのパンデミックの時期を経て、またご一緒させていただいています。

ワークライフバランスは東京にないロサンゼルスの魅力

水嶋:ロサンゼルスでは、どのようなライフスタイルを送っていますか?

Yuichi:チルです(笑)。ロサンゼルスは、天気が良く、自然がたくさんあり、過ごしやすいです。私のパーソナルなライフスタイルは凄くチルですが、対照的にワークスタイルは華やかなところに身を置き、何百人もの人々に会い、スピードが速いと感じています。仕事になるとすごく激しいですね。

水嶋:私も同様に感じています。周りの活躍される方々皆さん、穏やかでチルですが、仕事になるとプロフェッショナル。

Yuichi:チームになった時に一人でも何かがずれると、みんながずれてしまう。トップで活躍する人はそれを知っていて、プロフェッショナルな仕事をするからプレッシャーを感じている。だからその反面、プライベートでは自分の時間を大事にしていると思います。

水嶋:皆さん仕事とプライベートを良いバランスで楽しんでいるんですね!その部分が東京には無いように感じるのですが、どう思われますか?

Yuichi:LAならではかもしれませんね。東京は、仕事が終わった後にリラックス出来る空間を見つけるのが難しいかもしれませんね。カリフォルニアは自然が多いので、仕事が終わった後に、自分のリゾート地に戻れる感覚があります。

水嶋:直近ではどんなプロジェクトを手掛けていますか?

Yuichi:現在商品開発をしています。また、自分のヘアスタジオ「エム・クリエイティブズ(MCREATIVEZ)」をオープンしました。教育の場として、自分の思考を広めていけたらと思っています。フリーランスで活躍してきて、業界トップの方々とご一緒させていただき、もっと彼らと肩を並べられるトップのヘアスタイリスト、アーティストになっていきたいと思っています。

水嶋:ユーイチさんの思う”トップ”とは?

Yuichi:僕が描いているトップには限界がありません。仕事をする時は、プレッシャーがつきものだと思いますが、ある程度こなしてしまうとプレッシャーが無くなってしまい、当たり前になり成長が止まってしまう。常に成長を追い求めています。人とも話しながら自分をリマインディングすることが大事ですね。

PHOTOS:KENTARO MINATO[SEVEN BROS. PICTURES], TEXT:ERI BEVERLY

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