ファッション

モデルemmaが語る、アパレルブランド経営で感じた成長と今後

モデルのemmaが文化服装学院時代の同級生スタイリスト・中村璃乃と共に手がけるアパレルブランド「イーアール(ER)」は、ブランド発足から3年目を迎えた。自己資金で会社(SiS)を立ち上げ、商品のデザインから生産管理、PRまでこなす彼女。モデル業の走りを緩めることなく、経営者としてのやりがいと大変さを感じている。

「イーアール」は8月31日と9月1日の2日間、2024年秋冬新作の受注会(一部商品は即売)を都内で初開催する。会場で、emmaにブランドの現在地と今後について話を聞いた。

WWD:ブランドを立ち上げたきっかけについて、改めて聞きたい。

emma:小さい頃からファッションに関わるモノ作りに携わりたいという思いがあり、でも何をしたらいいか分からなくて、とりあえず文化服装学院に入学しました。2年生のときにスカウトされてそのまま(雑誌「ヴィヴィ(VIVI)」専属の)モデルの道に進んだのですが、 学生時代はファッション流通科というファッションビジネスに特化した学科で学び、「自分のブランドを持ちたい」という思いは根っこにずっとありました。

「イーアール」の立ち上げを本格的に考え始めたのは、3年半ほど前でしょうか。それまでにモデル業の傍らでアパレルブランドとのコラボなどで服作りに関わらせていただくことはありましたが、それは「いいとこどり」をしているんじゃないかというギモンが、自分の中でずっとあったんです。

どういうことかというと、これは今となってより痛感しますが、服を作って売るまでに、どれだけの人が、どれだけの苦労をしているのかを知ることまで含め、「服を作る」ことなんじゃないかと思うんです。だから最初は誰の力も借りずに、モデル業で貯めてきたお金をはたいて、自己資金で会社を立ち上げようと決めました。

WWD:経営者として苦労することは?

emma:やっぱり数字を扱うことが多いから、お金の計算だけでも初めはすごく苦労しました。ただ、文化(服装学院)のときにパターンやデザイン、色彩など服作りの素地になる知識だけでなく、アパレル業界の専門用語や商習慣についても学んでいたので、商談の理解の助けになったこともありました。学生時代、がんばって勉強していた自分をほめてあげたいです(笑)。

ブランド経営とモデル
「エネルギーの使い方が全然違う」

WWD:二足の草鞋を履くのは大変そうだ。

emma:モデルだけしていたときは、一つ一つの仕事を瞬発力でこなしていた感覚があったんです。ただ、経営はいかに継続させるかが大事じゃないですか。当たり前のようですが、モデルの仕事と経営では、仕事への向き合い方もエネルギーの使い方も全然違うんですよね。

「イーアール」の企画が大詰めになってくると、しんどい日もあります。朝からモデルの撮影があって、昼からは商談。合間のメイクをしたり落としたりしていただいている間に、iPadでビジネスメールを打っていることもあります。家に帰ったら新作のデザイン画を引いたり、ブランドのインスタの投稿について考えたり。どっちの仕事にも穴は開けたくないから、もう忙しくてカオス!って感じなんですけど、がんばって乗り切っています(笑)。

WWD:苦労も多い中、原動力は。

emma:根っこでは、私はやっぱりクリエイティブなことがするのが好きだし、「自分の服を作りたい」とずっと思ってきたから、今それを楽しめてやれていることかな。もちろん経営者としてもアパレルデザイナーとしても足りないことはまだまだあるから、そういうことは恥ずかしがらず、どんどん周りに聞いて、頼っていきたいです。芸能の仕事をしながら自分のブランドを持つ人が増えています。そういう人と切磋琢磨し、ときには道標にしていきたい。

WWD:ブランドの今後は。

emma:「イーアール」は、誰かのきっかけを作るブランドでありたいという思いを込めて作りました。私を通じて「イーアール」を知ってくれた人が、ファン同士でつながったり、ファッションの楽しさを知ってくれたり……。ブランドを立ち上げてようやく2年。よちよち歩きですが、もっともっと輪を広げていきたいと思っています。

▪️ER 24AW COLLECTION 先行受注会&ポップアップストア
日時: 2024年8月31日(土) 、9月1日(日)10:00〜20:00(1日は最終入場19:30)
場所: THE PLUG (東京都渋谷区神宮前6丁目12−9)

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