マッシュホールディングス(HD)が米国発ヘアケアブランド「インナーセンス(INNERSENSE)」を導入する。すでに欧米では約4600のヘアサロンやセレクトショップ、高級オーガニックスーパーなどで取り扱いがあり、人気を確立している。日本では自社のセレクトショップ「コスメキッチン(COSME KITCHEN)」で取り扱うほか、マッシュHDとして本格的にサロン向け卸事業に進出。子会社インナーセンスアジアを立ち上げ、日本をベースとしたアジア展開を構想する。発売は11月1日。ニュウマン新宿店でのみ、同店のリニューアルに合わせて9月12日から先行販売する。
ラインアップはインバス、アウトバス合わせて13種。シグニチャーアイテムの“ハイドレイティングクリームヘアバス”(295mL、4180円)はシアバター、タマヌオイル、アボカドオイルといった天然のエモリエント成分が頭皮と髪をいたわりつつ、健やかに洗い上げるシャンプー。クリームタイプの洗い流さないトリートメント“スイートスピリットリープインコンディショナー”(同)はアロエベラやローズマリーオイルなど植物由来の成分やハチミツを配合し、しっとり艶やかに仕上がる。
「インナーセンス」との取引は、「地球環境に対する真摯な姿勢と圧倒的なサロンクオリティーの両立」(インナーセンスアジアの中谷昌弘社長)が決めてだった。「インナーセンス」は厳格な審査であるBコープをはじめ、カーボンニュートラルや動物実験フリーなど自然保護にまつわるさまざまな活動認証を取得している。
中谷氏曰く、「オーガニックビューティーやクリーンビューティーを謳う商品は、仕上がりがどうしても犠牲になってしまうものも多い」。だが「インナーセンス」は、シャンプー類においては水分の組成を45%以下(一般的には70%程度が水分といわれる)に抑えて美容成分を凝縮する「高濃度処方」を採用、皮膚刺激や髪ダメージの原因成分などを排除する「3000の使用しないリスト」を掲げて妥協のない仕上がりを追求している。創業者である元プロスタイリストのグレッグ・スタークマン、ジョアン・スタークマン夫妻のノウハウと、皮膚科医の知見を融合した成分研究や商品開発のプロセスも強みだ。
今後は東京と大阪にブランドの旗艦店を構えて戦略の拠点とし、機を見てアジア諸国へ進出する。「日本の優れたサロン技術を、ブランドとともに海外に発信していきたい」と中谷氏は展望を話す。
「ブランドを一歩一歩成長させたい」
マッシュは理想のパートナー
3日に発表会が開かれ、インナーセンス創業者のグレッグ・スタークマンとジョアン・スタークマン夫妻が来日。ブランド創業の理念や哲学を語った。
2人の間に生まれた子供が難病であるウイリアムズ症候群を発症したことをきっかけに、夫妻は人や髪、地球の健康を改めて強く考え、クリーンビューティブランドである「インナーセンス」を立ち上げた。「消費者の目線はブランドを立ち上げた当時よりも厳しくなっていて、配合成分ひとつひとつについて吟味される。だから私たちも常にストイックでなくてはならない。『インナーセンス』は、(欧米では)すでにクリーンビューティのパイオニアとして捉えられているし、そこにプライドを持ってビジネスをしてもいる」と2人。
マッシュとの協業については、「私たちは急速なビジネスの成長を求めているわけではなく、創業当初のフィロソフィーと規律を守りながら一歩一歩成長していきたいと考えている。そういったスタンスに共感してくれたマッシュグループとのパートナーシップは、非常にいいものになるだろう」と期待を述べた。「それに日本のプロのスタイリストは非常に優秀で、その技術力はアメリカよりも先に行っているようにすら思える。私たちも学べる点は多くあるはずだ」。