ファッション
特集 NY・ロンドンコレクション2025年春夏

「アライア」ニューヨークに凱旋 “合理性”との融合で際立つエレガンス

ピーター・ミュリエ(Pieter Mulier)がクリエイティブ・ディレクターを務める「アライア(ALAIA)」は現地時間9月6日、2024-25年冬春コレクションをニューヨークで発表した。

会場は、近代建築の巨匠であるフランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)の名建築の一つとして知られるソロモン・R・グッゲンハイム美術館。建物に入ると、巨大な吹き抜けと螺旋状の通路が囲うダイナミックな構造に目を奪われる。「アライア」にとってニューヨークはブランドのルーツとなる地。黎明期の1980年代に初の店舗を構え、82年には初となるランウエイショーを実施した。2000年には創業デザイナーのアズディン・アライアが、ここグッゲンハイム美術館でアンディ・ウォーホルとの合同展示を実施した。

会場の螺旋とシンクロする
幾何学構造のパターンやディテール

ブランドの重要な足跡を辿る今回のショーは、「アライア」らしいエレガンスに、アメリカンウエアのスポーティーな要素や「合理性」「実用性」を融合させた。ショーがスタートすると、螺旋通路の最上部からモデルが現れ、順々に通路をつたいながら、ゲストが待つ地階へとゆっくりと降りて来る。渦を巻いたようなデザインのボリューミーなファーアウターや、細くカットしたレザーを波打たせ、つなぎ合わせて構築したトップス、胸元から放射状にギャザーが広がるブラウス。美術館の構造とシンクロするように、幾何学的に構築されたパターンやディテールが目を引く。ダブルフェイスのカシミアや目の詰まったポプリン、シルクタフタがつくる揺れ動くようなシルエットが美しい。

バンドゥやコルセット
「合理性」で際立つエレガンス

対照的に、インナーはスポーティーなバンドゥ、コルセット構造のワンピースなどで身体をタイトに締めつけた。「アライア」元来のボディーコンシャスなスタイルの表現であるとともに、ファスナーやボタンといった余分な部材を省くことで、モデルたちに注がれる目はシルエットや素材の美しさに集中する。合理性と実用性のエッセンスが、「アライア」らしいエレガンスを際立たせた。

アズディンの足跡に立ち返りながら、新しい姿を見せた「アライア」。フィナーレを終えたモデルたちは、再び螺旋を上りはじめる。その光景に、ブランドの歴史の輪廻を紡いでいこうというミュリエの意志が重なる。モデルたちの姿が見えなくなるまで、会場の拍手が止むことはなかった。

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