2014年は毛織物の原料である羊毛がいっそう高騰しそうだ。世界最大の羊毛生産国のオーストラリアの羊毛業者3万6000人が加盟するAWIのスチュアート・マカラック最高経営責任者(CEO)は、「中国やインド、そしてASEANなどの新興国の経済成長に伴い、羊毛の需要は拡大しているが、供給が追いつかない状況が続いている。中長期的に見ると羊毛価格は高騰を続ける可能性は高く、ウールはいずれ存在自体がラグジュアリーになるだろう」と語る。オーストラリア羊毛取引所の羊毛価格は2000年と比べると、3倍以上に上がっている。
そのためAWIはここ数年、積極的なマーケティングと広報活動を進めている。昨年からは、カール・ラガーフェルドやイブ・サンローランを発掘した、伝統あるファッションデザインコンテスト「インターナショナル・ウールマークプライズ(IWP)」を復活。アジアやヨーロッパ、アメリカなど各地域から選出するファイナリストに5万豪ドル(約465万円)、グランプリには10万豪ドル(約930万円)を授与。また、SNSなどデジタル技術を使ったコミュニケーションにも積極的に取り組んでいる。スチュアートCEOは「ウールの市場が広がるのは人口が多く、気温の寒暖差に富み、経済力のある地域。我々はその三つが合致する中国に、常に注意を払っている」。