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大阪駅前に巨大な公園 緑とイノベーションの融合「グラングリーン大阪」好発進

JR大阪駅のうめきたエリアに9月6日先行開業した「グラングリーン大阪」が話題だ。梅田地区にはなかった広い公園や芝生広場が人気で、計3日間で延べ50万人以上が訪れた。イベントも充実しており、家族連れの姿が目立つ。

三菱地所、オリックス不動産、積水ハウス、阪急電鉄など9事業者が参画し、官民連携で進められてきたプロジェクトで、緑とイノベーションの融合拠点をまち作りの目標として掲げる。9事業者からなるうめきたMMOが、街の中心に位置する「うめきた公園」の指定管理者として今後50年の長きにわたり、公園とエリア全体を一体的に管理する。緑豊かな公共空間を柔軟に活用することで、2013年に開業したグランフロント大阪を含むうめきた全体の価値向上をめざす考えだ。

総事業費はグラングリーン大阪単体で約6000億円。グランフロント大阪と合わせると1兆円超で、東京・丸ノ内や渋谷の再開発と同等規模になる。グラングリーン大阪の年間来場者目標は1億人を見込む。

敷地面積は約9万平方メートル。そのうちうめきた公園は半分の約4.5万平方メートルを占め、大規模ターミナル駅直結としては世界最大級の規模を誇る。建物の緑化部分も含めると、大阪駅前に約8万平方メートルもの緑の空間が誕生したことになる。都市型公園誕生の背景には、大阪市内の一人当たり公園面積が47都道府県の中で最下位であり、緑地不足を解決したい思いもあったという。

開発にあたっては、「公園の中にまちをつくる」という発想で公園と建物を一体的にデザインしたランドスケープファーストの考え方を重視した。南北の公園を取り囲むように、オフィスとホテル、商業施設、中核機能施設、分譲住宅の5つの機能を配したビルが建つユニークな構成が特徴だ。関西の新たなランドマークを目指し、GGNやSANAA、安藤忠雄氏など世界的なデザイナーと建築家を起用した。

オープンセレモニーで吉村洋文・大阪府知事は「都市のど真ん中に本物の緑が誕生した。緑とイノベーションの融合拠点として、ここから新しい経済と産業と価値が生まれる。この新しい梅田の顔をもとに大阪関西を成長させて、100年200年愛される街作りをしていきたい」とあいさつした。

1万人規模のイベントも可能

先行まちびらきでは、全敷地の約4割が完成した。南公園と北公園の一部をはじめ、北館の商業ゾーンとホテル「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」、中核機能施設の「ジャムベース」、公園内施設が開業した。関西最大級の都市型スパやオフィスなどが入る南館は25年春頃、全面開業は27年春の予定だ。

うめきた公園のシンボルとなる南公園の大屋根は、南北120mに渡って緩やかに起伏するデザインが印象的。その下のイベントスペースは、水盤のある芝生広場との一体利用により、1万人規模のイベント開催が可能だ。オープニングイベントには、近隣に住む家族連れや梅田で働くワーカー、観光客など老若男女が集まり、終日賑わいを見せた。

北館1・2階の商業ゾーンには、関西初や新業態を含む15店舗が出店した。アウトドアブランド「パタゴニア」は、売場面積382㎡とワンフロアでは国内最大規模となる西日本の旗艦店を開業。国内初となる中古衣料の常設コーナーでは、修理して長く着続けることのストーリーの展示やリペアイベントを開催する。地球を再生する農業や調達方法を支援する「パタゴニア プロビジョンズ」の食品も取りそろえる。

ホームセンター「コーナン」は、植物とアクアリウムに特化した同社初の都市型店舗「ガーデンズ」を展開する。「水と緑をもっと身近に」をコンセプトに、植物売り場では切り花や観葉植物など常時約600種類をラインナップ。アクアリウム売り場では、八尾に本店を構える「トールマン」が市内最大級の水草のレイアウト水槽やテラリウム、パルダリウムを展示し、約100種類の水草と約250種類の熱帯魚を販売する。他にも、書店の「有隣堂」と「タリーズコーヒー」の協業店、関西を中心にグリーンを広げる活動を行う「イロドリミドリ」が手がける植物専門店「キープグリーン」など、プロジェクトのコンセプトに合致したテナントが集結。公園内には、景色を楽しみながら食事やスイーツを楽しめる飲食店も4店舗オープンした。

新産業創出や産官学交流の拠点として同事業の中核を担う「ジャムベース」には、企業や大学、研究機関、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、学生などが集い、新たなアイデアの社会実装や事業化への挑戦を推進、支援する。北館の1~9階に、会員制の交流スペースや家具付きのスモールオフィス、コワークスペースを設けたほか、公園内には安藤忠雄氏が設計監修した新しい文化施設「ヴイエス」が開業した。

関西経済のけん引役として期待

グラングリーン大阪には3つのホテルが入る。南館にはヒルトンホテルチェーンの最上位クラス「ウォルドーフ・アストリア大阪」と、通常のビジネスホテルとは一線を画した「ホテル阪急グランレスパイア大阪」が来春開業する。北館の高層階には日本初進出となるライフスタイルホテル「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」が6日開業した。キャノピーは53のスイートルームと19のコネクティングルームを含む全308の客室を有し、大阪らしさを各所に表現した。地域密着型のイベントやアクティビティが行われる予定だ。

旧梅田貨物駅の全面移転から40年。うめきたエリアは2002年の国際コンペから20年をかけて開発されてきた。18年に2期エリアの開発事業者が決定し、20年に着工。グランフロント大阪は開業から11年が経ち、入居企業500社以上、就労者2万人の大規模オフィス街に発展した。グラングリーン大阪は、梅田の新たなランドマークとなり、関西経済をけん引する拠点となることが期待されている。

三菱地所の中島篤社長はオープニングセレモニーで事業者を代表してあいさつした。「ターミナル駅直結という地の利、緑豊かな都市公園を抱える恵まれた環境を生かし、関西経済にとって重要なイノベーションエコシステムのハブとしての機能を担っていく」と意気込みを語った。

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