PROFILE: 桜井敬子「レリアン」伊勢丹浦和店 店長
創業56年の日本を代表するミセスブランド「レリアン」の販売スタッフとして29年にわたり、その成長を支えている一人が桜井さんだ。大手百貨店を中心に大型店店長を歴任し、海外ラグジュアリーブランドにも匹敵するほどの売り上げにも貢献してきた。また「レリアン」販売員としての手腕が問われるともいう、伊ファクトリーブランド「マリーニア(MANIGLIA)」のカシミヤやウールを用いた一着20万円台後半の別注商品も数多く販売してきた。それほど、顧客への信頼と実績を持つ。
桜井さんは京都生まれ神戸育ち、その後埼玉に移住。学生時代はファッションバイブルだった雑誌「キャンキャン」を愛読し、伊勢丹新宿店やセレクトショップでよく買い物するほどファッション好きだった。トレンドに敏感だった20代。自分のテイストも世代も異なるミセスブランドでの接客に戸惑いはあったのか。「なかったですね。接客は年齢ではなく、お客さまが持つ雰囲気や個性を通じて提案するようにしています。おしゃれになりたいという気持ちは私も同じですし、その中で納得して商品を購入していただけるよう、親身になって接客をすることを心掛けています」。
「ひらめき」だけに頼らず、お客さまの「着たい」を聞き出す
ただし、40〜50代女性の体型、服に対する好みや悩みはさまざまで、流行りモノよりも“自分が着たい服”への提案が個々に必要で、店内に並ぶ幅広いラインアップから「これ」という商品を提示しなければいけない。そこで桜井さんは、その日の装いやヘアスタイル、雰囲気を入店前から察知。それと同時に見合うアイテムが瞬時に脳裏に浮かぶという。「その“ひらめき”は私にとって接客が面白いと思うところ。もちろんすぐにお出しするわけではありません。お客さまとの会話を最優先し目的や見合うものを再度見つくろいます。ただ、試着されて顔映りや体格などから読み違いすることもあります。その場合は違う商品に即座にお持ちします。なんでも『いい』と褒めることはしません。商品選びや培った能力は販売員として武器になりますが、最終的には気持ちよく商品を持ち帰っていただきたい。正直に接客することでお客さまの安心につながることこそ、大事だと思っています」。
数年前からは少しでも姿勢良く服を着こなせたらとピラティスを始めた桜井さん。美しい立ち振る舞いはプロの販売員として磨かれたものであり、失敗も学びと捉える前向きな思考を探求してきた姿でもある。常に心掛けてきたことは、まずは客に興味を持つこと、そして客が自分から話したくなるほど心を動かす接客をすることだ。「結局、いつもいつでも自分に正直でいることがお客さまのためにもなると思うんです。自信のない接客で喜ばれることはきっとないですよね。でも上を見れば先輩にはまだまだ追いつけない部分もあるし、提案に自信が足りないこともある。自分の気持ちを信じて、今の自分にできることを探求し続けることで自分らしい接客の楽しさを発揮していきたいです」。
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