2009年から続く「WWDBEAUTY」のベストコスメ特集では、バイヤーのアンケートをもとに本当に売れた商品を表彰する。連載「ベスコス歴代名鑑」では、15年以上続く本特集の中でも常にランキングに入賞する“傑作”をピックアップ。時代を超えて愛される理由や商品の魅力について、美容ジャーナリストの加藤智一が深掘りする。今回は「クレ・ド・ポー ボーテ」の化粧下地“ヴォワールコレクチュールn”にフォーカス。
主要百貨店・セミセルフなどで売れた商品を調査する「WWDBEAUTY2024上半期ベストコスメ」にて、総合ベースメイク部門 百貨店・セミセルフとECで首位と圧倒的な人気を博したのが、今回紹介する「クレ・ド・ポー ボーテ」の化粧下地“ヴォワールコレクチュールn”だ。
百貨店のバイヤーからは、「新客獲得のきっかけとなる商品」、「リピート購入が多い」と称賛の声を浴びたが、実はこの下地、現行品のリニューアルは2020年。SNSによる口コミ人気が広がったことで、発売から4年経った24年にも「WWDBEAUTY」紙上で“本当に売れた”という栄冠を勝ち取った。しかも、メイクアップとスキンケアの“橋渡し”となる化粧下地が売れていることで、ファンデーションやパウダー、美容液など他アイテムも連鎖的に売れており、中には品切れを起こすほど注目を集めているアイテムもあるという。
このように右肩上がりで売り上げを伸ばした同商品だが、その主な理由は2つある。一つは化粧下地としての完成度が極めて高いこと。近年、化粧下地はBB・CCクリームのようなファンデーションと化粧下地の機能を併せた商品に押され気味だった感があるが、そのトレンドはコロナ禍で一変。ベースメイクの基準が「マスク移りしないこと」、「スキンケア効果が高いこと」といったニーズへと変化。それに伴い、化粧下地にパウダーといった“薄メイク”をする人も増えたことから、発色はせずとも美肌補正をしてくれて、しかもスキンケア効果がある、という高機能な化粧下地に注目が集まるように。“ヴォワールコレクチュールn”は、そんな“次世代型下地”のニーズと見事に合致。「化粧下地を落した後肌がしっとりしている、キメが整っている」などといったスキンケア効果への口コミもさらなる追い風となった。
そして、その醸成された口コミを、広告戦略で視覚化・言語化したことが、勢いを後押ししたもう一つの理由。ウエブ広告のバナーやコピー一つとっても、メイクアップの仕上がりの美しさだけではなく、“ヴォワールコレクチュールn”の強みであるスキンケア効果とそれを支えるサイエンスを伝えたことで、インフルエンサーがその高い技術力を紹介。さまざまなメディアで商品力を発信できたことが人気を下支えした。
化粧下地はベースメイクの脇役になりがちなアイテムだが、同商品にはダイヤモンドの光構造に着想を得た技術、ライトエンパワリングエンハンサーを採用しており、従来の化粧下地の域を大きく超えて、ラグジュアリーな艶感を取り入れている。輝きあふれる仕上がりとエイジングケア効果を備え、化粧下地を主役級のポジションへと高めたからこそ、その使い心地のよさに誰もがとりこになるのだろう。