トヨタ自動車、アーバンリサーチ、豊島は、廃棄する自動車部品や端材、アパレルの廃棄衣料などのアップサイクルにおいて、3社連携を開始した。第1弾として10月11日まで、東京・虎ノ門の「アーバン・ファミマ!!」虎ノ門ヒルズビジネスタワー店で、アップサイクル製品のトートバッグやステーショナリーグッズなどを販売している。
トヨタ自動車は約3年半前に、循環型の仕組みを目指す“トヨタ アップサイクル(TOYOTA UPCYCLE)”プロジェクトを始動した。「自動車には何万点もの部品が使われている。(端材などで)リユース・リサイクルできるものは再利用するが、廃棄せざるを得なかったものもある」(中村慶至トヨタ自動車 新事業企画部 事業開発室 トヨタアップサイクルプロジェクトオーナー)。それらをアップサイクルし、雑貨類を作ることを目指してきたが、「3年半プロジェクトを行ってきて、アップサイクルは生産効率とデザインの2点において本当に難しいと実感した」のだという。
「変容に驚いてほしい」
生産効率でいえば、「元々は廃棄していたテキスタイルやレザーを使用するため、量や色が読めない」。そして、「それらに柔軟に対応する圧倒的なデザインの力」の不足に課題を感じていた。「アーバンリサーチ、豊島と組むことで、この2点が乗り越えられる」と考え、3社連携に至った。アーバンリサーチはデザイン、豊島は生産背景の面で強みを生かす。アーバンリサーチは従前から、廃棄衣料を色によって分別し、雑貨用資材として再利用するプロジェクト「コンポスト(COMMPOST)」も自社内で手掛けており、トヨタ自動車は同社のそうした姿勢に共感したという。
「アーバン・ファミマ!!」では、エアバッグやシートベルトの端材を使ったキャンプシーン向けのトートバッグ(2万3100円)や自動車のシートにも取り付けられるウォールポケット(1万7600円)、「レクサス(LEXUS)」のシートレザーの端材を使ったペンケース(3500円)やカードケース(2000円)などを、自動車部品と共に展示・販売。これらは3社連携前から企画していた商品といい、「今後企画する商品はさらにデザイン力も高まっていく。アップサイクルによって、以前はゴミとなっていたものがこんなすてきなものに変わるという、変容への驚きをお客さまに感じてほしい」と中村オーナー。
リニューアルする京都店でも展開
「アーバン・ファミマ!!」での今回のポップアップに続き、11月に「グローバルフラッグシップストア」を目指しリニューアル予定という「アーバンリサーチ」の京都店にも、“トヨタ アップサイクル”のコーナーを設ける。他の「アーバンリサーチ」店舗でも順次展開予定だ。
今後は、トヨタ自動車とアーバンリサーチの端材・廃棄衣料などを合わせてアップサイクルを進めると共に、消費者にアップサイクルを体験してもらえるようなコト提案も進めていく。また、自動車やアパレル業界に限らず、他産業も組み込んだアップサイクルの仕組み作りに取り組んでいく考え。