大手アパレルのイトキンを投資ファンドのインテグラルが買収することが10日、正式に発表された。イトキンが実施する第三者割当増資を約45億円で引き受ける。インテグラル側からイトキンに会長として辺見芳弘氏をはじめ複数名が役員に就任する。現在運営する28ブランド・1400店舗のリストラを、インテグラル主導で進める。
イトキンは非上場企業だが、百貨店を主力とした総合アパレルの五指に入る名門。いち早く中国事業を軌道に乗せたり、SPA型ブランドを投入したりするなど革新的な時期もあった。2001年1月期の売上高は1424億円で、売上高3000億円構想も打ち出していた。しかし、中国事業を大幅に縮小せざるをえず、主戦場の百貨店での売り上げ低迷などもあり、直近の15年1月期には952億円にまで低下し、4年連続の赤字に陥ってきた。今春は、少なくとも4ブランド・事業を廃止する。「クレージュ(COURREGES)」と「シンシア ローリー(CYNTHIA ROWLEY)」は1月末でライセンス契約を終了し、順次閉店する。定年を迎える優秀なベテラン社員を活用した新会社イトキンメビウスの「グレイセラ(GRACERA)」は2015-16年秋冬商品で撤退し、「ヒアーズ(HERE'S)」は4月上旬で事業をクローズする。
インテグラルは日本のM&Aの第一人者と言われ、スカイマークの代表取締役会長も兼ねる佐山展生(さやま・のぶお)が代表を務めている。主な投資先はファッション系ではヨウジヤマモト(09年12月〜)、バッグのシカタ(10年11月〜)、その他「アパマンショップ」やヘアカットの「QBハウス」、スカイマークなどが名前を連ねる。