これぞ“「クロエ(CHLOE)」ガール“というスタイルのカムバックで喝采を浴びたデビューショーから半年、シェミナ・カマリ(Chemena Kamali)のクリエイションは勢いに乗っている。2025年春夏も、アーカイブに見られる引き続きブランドの歴史やDNAに向き合いながら、現代に向けてスタイルをアップデート。ロマンチックなムードにセンシュアリティーを加え、自由で開放的な夏を描いた。
「クロエ」を熟知するカマリが大切にすること
今シーズンの着想源となったのは、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が手掛けた1976〜78年の春夏コレクション。「当時のコレクションには、自然なフェミニニティーがあった。それは、エフォートレスで、とても軽やかでリラックス感のあるもの」と、カマリは振り返る。そして、かつて「クロエ」で2度働いていたことがあり、直感的でパーソナルな着こなしを大切に考える彼女は、「『クロエ』の豊かな歴史を物語るアーカイブの中には、多彩な要素がある。それは、ディテールであったり、シルエットであったり、プリントであったり。コレクション全体に惹かれることもある。チームと共にアイデアを発展させ、フィッティングを行う中で私たちが自問自答しているのは、“自分たちが着たいと思うか?“や”現代と関連性があり、新たな世代に伝わるものか?“”どうすれば、私たちらしいものになるか?“ということ。そして、最終的な決断を下す時には、“私自身がそのスタイルを信じられるか?“や”リアリティーがあるか?“を考える。リアリティーは『クロエ』にとって、極めて重要な要素だと思うから」と説明する。
日に焼けたような柔らかな色合いで彩るロマンチックなスタイル
新生「クロエ」の土台を築いた2024-25年秋冬の延長線上にある今季は、日に焼けて褪せたような柔らかなカラーパレットがベースになる。花の刺しゅうやレーストリムをあしらったフェミニンなトップスやランジェリーライクなアイテムには、裾上をギュッと絞ることでバルーンシェイプを描いたリラックスパンツや1978年のアーカイブからヒントを得たブルマーをコーディネート。腰位置が高めのテーラードジャケットに合わせたトラウザーや、淡い色合いのジーンズは、引き続き70sムード感じるハイウエストのフレアシルエットで提案する。
また、タフなコットンや滑らかなレザーを用いたワークスタイルのジャケットは、肩下のヨーク部分に入れたたっぷりのギャザーと盛り上がったボリュームのある袖でロマンチックに。これは、「クロエ」のシグネチャーでもあるシルクブラウスのシルエットからイメージをふくらませたものだという。そして、シルクモスリンやシフォン、シャルムーズのドレスは前がミニ丈で、後ろに向かって長くなったデザイン。たっぷりと用いた柔らかな生地が風をはらむ姿が美しい。77年春夏から引用し再解釈したバラや芍薬のプリントが、華やかにドレスを彩る。
アクセサリーは海のモチーフが満載
アクセサリーに用いたのは、夏にぴったりの海のモチーフ。ゴールドトーンのメタルで作られた貝殻や珊瑚、アンモナイトが、バッグのハンドルやボディー、チャーム、フラットシューズのアッパーやジェリーシューズのヒールを飾る。新たな提案として目を引いたのは、クロシェやラフィアの軽やかなバッグ。また、カメラバッグにはスエードのモデルが加わった。ジュエリーもゴールドトーンを基調に、海のモチーフとパールやカラーストーンをミックスしたデザインがそろう。