イトーヨーカドー津田沼店(千葉・習志野)が、9月29日で閉店した。1977年に開業してから46年にわたって営業。80〜90年代にかけては、10年以上にわたって全国のイトーヨーカドーで売上高1位を誇った有力店だ。1970年代にはイトーヨーカドーを含め、JR津田沼駅近隣にパルコ、ダイエー、高島屋、丸井などが相次いで出店し、“津田沼戦争”などと言われたが、イトーヨーカドーの閉店によって、当時からのプレーヤーは全ていなくなった。
メッセージコーナーやフォトスポットも
19時の閉店を前に18時過ぎに店舗を訪れると、地下1階の生鮮売り場は青果や鮮魚はほぼ売り切れ。精肉は最後の割引に長い行列ができていた。上階の衣料品や寝具などの売り場には「売りつくし」のビラが多数。6階の電気店「ノジマ」の売り場には、「移転閉店」の札。新京成電鉄の新津田沼駅を挟んで向かい合うイオンモール津田沼の2階に移転するという。
7階には、客からのメッセージや開業当時の写真コーナー、フォトスポットなどが設けられ、客でごった返していた。友人と3人で訪れていた60代の女性は、「津田沼に住んでいて、ヨーカドーには結婚前からずっと通っている。他にも近くにスーパーはいくつかあるが、品ぞろえや鮮度は違う。鮮魚や精肉、惣菜はヨーカドーが一番いいと感じていた」とコメント。じっくりと客のメッセージを読み込んでいた50代の男性は、千葉・柏からわざわざ来たのだという。「柏のヨーカドーも来月(10月27日)で閉まってしまう。どんな感じなのかなと思って来てみた」と話す、熱心なヨーカドーファンだ。
向かいのイオンモールに客が流出
一方で、「今日は最終日だから来てみた。普段は、お寿司を買うときを除いてほぼイオンモールに行っている」(40代女性)という声も。「イオンモールの方が売り場が新しい感じがして、食料雑貨店の『カルディ(KALDI)』なども入っていて便利」とその女性。このコメントが象徴するように、ライバルのイオンモール津田沼(03年開業)に、若年層やファミリー層が流れていた。
19時の閉店間際になると、店の最後を見届けようと、2階の正面入り口前を客が何重にも囲んだ。新津田沼駅と直結していることもあり、安全上の理由から閉店セレモニーや挨拶はなし。さっぱりとした閉店だったが、客からは何度か拍手が起こって46年を締め括った。
イトーヨーカドーは29日に、津田沼店のほか上板橋店(東京・板橋)などを閉店。23年3月時点で、26年2月期までに計33店を閉店すると発表している。