染色加工大手の小松マテーレの、独自開発したワイヤータイプの炭素繊維複合材「カボコーマ」シリーズが広がっている。シリーズ第1弾の「カボコーマ・ストランドロッド」は、通常はシート状で使うことの多い炭素繊維複合材料をロープ状に加工したもの。建築家の隈研吾氏と組み、用途開拓や採用実績を積み上げてきた。隈氏は「ロープタイプの耐震補強材としてはおそらく世界初の建築材。ロープ状になっているため、軽く持ち運びやすく現場での作業もしやすい。繊細な木造建築の耐震補強材としても注目されており、国宝や重要文化財への活用も検討されている」という。
「カボコーマ・ストランドロッド」は科学技術振興機構(JST)の支援を受け、金沢工業大学と協働で開発し、2018年には炭素繊維複合材料として初めて、耐震補強材としてJIS規格を取得していた。最大の特徴はその軽さで160mで14kgと軽量で、同等の強度のメタルワイヤーの約5分の1になる。
小松マテーレと隈氏との協働は2011年からスタート。小松マテーレは石川県能美市にある旧本社棟を、「カボコーマ」を使って耐震補強した「ファーボ(fa-bo)」としてリニューアルした際にも、隈事務所が設計を担当していた。昨年からは東京大学の「SEKISUI HOUSE – KUMA LAB」内で発足した里山プロジェクトチームと一緒に「カボコーマ」をシート状に加工したテーブルなどの家具制作にも取り組んでいる。