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UAが新規事業の出店を一時抑制 2015年3月期第1四半期は増収減益

 ユナイテッドアローズ(UA)は今春からスタートした新規事業「ボワソンショコラ(BOISSON CHOCOLAT)」「ボウ&アローズ(BOW & ARROWS)」「アストラット(ASTRAET)」の新規出店を今秋に一時抑制する。各事業ともにテイスト、価格帯、年齢軸などにおいて、新たなマーケットを狙って開発した業態であるが、出店を急ぐより、顧客のニーズを把握しより明確なMD戦略を構築するほうが成功への近道だと判断。2015年3月以降、新規出店を再開する。これにより今期の出店数はグループ合計で31、退店数が6、期末店舗数は前回見込みから4店舗減の339店舗を見込む。

 竹田光広・社長は「ボウ&アローズ」については、「秋冬から出店を見据え、取り組み先の百貨店の入れ替えタイミングで春に2店舗(大丸の札幌店、梅田店)をオープンしたが、購買動向に照準があっていない。今後、目指していきたいメンズの百貨店市場の仮説と実際の実売客にニーズをまだまだスタディする必要がある。次の出店は東京を目指していこうとしているが、ニーズと層、MDの中身を見直す必要がある。フィックスするために出店を一度止めた」と説明。「ボワソンショコラ」については「ららぽーと船橋、アトレ吉祥寺、丸ビルの3店舗でテストマーケティングしているが、それぞれMDが異なる。どこをターゲティングするのか、客層を見定めるとともにMDの修正が必要だと判断した。とくに商品面の修正を重ね、確固たるものにしたい」とコメント。

 一方、「アストラット」については、「まずはうめだ阪急で百貨店のコーナー的な扱いでスタートし、箱型の名古屋ラシック、最後に東京・青山に出した。百貨店のショップ・イン・ショップでは世界観を出すことができなかったが、青山の路面旗艦店を出すことで世界観が変わった。著名人やリピーターも増えている。一方、UA店舗におけるレーベルとして展開している六本木店や原宿店などではコアなお客様を獲得できている。出店してできないことはないが、ベストなロケーション、エリアをもう少しスタディすることが必要。単独出店はいったん止めるが、従来の当社にないモード感のあるブランドとして、既存客の支持と新規客の獲得ができているので、まずは固めて、個店でのニーズに十分こたえていきたい。もっとブランドのカラーを出していきたい」と語る。

 新規業態の改善事例としては、「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(以下、BY)」のオリジナル・レーベルとしてスピンアウトした「モンキータイム」と、NY発のセレクトショップのアライアンスストア「スティーブン アラン」で実績を上げている。12年9月にルミネ新宿店をオープンした「モンキータイム」は、オフィシャルサイトを使った新作スタイリングの発信(年2回)やインスタグラムなどのSNSツールを使ったスタッフスタイリングの紹介、人気ブランドのイベント開催による認知度の向上に加え、不足商品の開発や人気ブランドの別注企画が奏功し、既存店売上高が前年同期比136.9%、客数が同118%となった。また13年4月に東京、新宿、大阪店をオープンした「スティーブン アラン」も既存店売上高が同115%、客数が同115.7%と改善。ファッション、アート、フードなどをテーマにした店頭イベントを2週間に1回開催したり、ネット通販も兼ねたオフィシャルサイトを開設したり、BY店舗でコーナー展開したりと認知度向上に加え、パンツ、ニットを中心としたライセンスによる核商品の開発や人気ブランドとの別注で品揃えの拡充を行ない、事業を好転させている。

 なお、UAの2015年3月期第1四半期(4?6月)連結決算は、売上高は前年同期比102.1%の298億5000万円だった。本業の儲けを示す営業利益は前期比82.8%の29億5900万円となり、増収減益となった。人件費の増加と海外を含めた新規事業の出店などに伴うコストの増加が主な要因。既存店売上高はグリーンレーベルリラクシング、クロムハーツで既存店売上高が前期実績を上回った。ユナイテッドアローズは増税の影響もあり同97.8%、スモール ビジネス ユニットは、スニーカーブームによる「オデット エ オディール」の苦戦などで同92.3%だった。

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