「ミッソーニ(MISSONI)」は10月3日、フィリッポ・グラツィオーリ(Filippo Grazioli)=クリエイティブ・ディレクターが任期終了とともに退任することを明らかにした。後任には、現在ホームコレクション部門を率いているアルベルト・カリーリ(Alberto Caliri)が昇格する。デビューは、2025年プレ・フォール・コレクションとなる予定。
「ミッソーニ」の歴史と最近の動向
「ミッソーニ」は、1953年にオッタヴィオ・ミッソーニ(Ottavio Missoni)とロジータ・ミッソーニ(Rosita Missoni)夫妻が創業。長らく一族経営が続いていたが、2018年に株式の41.2%をイタリアの投資会社FSIに売却した。20年には、現職のリヴィオ・プローリ(Livio Proli)最高経営責任者(CEO)が就任。同氏が進める再編計画の一環として、21年5月には、夫妻の長女で24年にわたってクリエイティブ・ディレクターを務めたアンジェラ・ミッソーニ(Angela Missoni)社長が退任した。その後は、1998年に「ミッソーニ」に加わり、アンジェラの右腕を長らく務めてきたカリーリが暫定的にクリエイティブ・ディレクターに。22年3月に、グラツィオーリ=クリエイティブ・ディレクターが就任した。これに伴い、カリーリはロジータの下でホームコレクション部門を率いることとなった。
グラツィオーリ=クリエイティブ・ディレクターはイタリア・マルケ州生まれ。「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」や「ヴィヴィアン・ウェストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」などの生産や販売を行っているスタッフ インターナショナル(STAFF INTERNATIONAL)でインターンをしていた際にマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)と出合い、13年まで同氏の下でウィメンズの経験を積んだ。その後、「エルメス(HERMES)」でウィメンズのシニア・デザイナーとなった。15年に「ジバンシィ(GIVENCHY)」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)と出合い、同ブランドのコレクション・ディレクターに就任。18年にティッシが「バーバリー(BURBERRY)」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したことに伴い、同ブランドのランウエイ・コレクション・ディレクターとなった。
「今後はホームも含めたライフスタイルブランドに」
プローリCEOは、グラツィオーリ=クリエイティブ・ディレクターの退任は「友好的で、互いの合意に基づいている」と説明。その貢献に心から感謝するとしつつも、ブランドの将来的な成長において、カリーリ次期クリエイティブ・ディレクターのニットウエアやテキスタイルに関する幅広い知識がカギとなると語った。「メンズ、ウィメンズ、ホームがそれぞれ独立したラインとしてあるのではなく、今後はそれらを統合した一つのライフスタイルコレクションにしたい。アルベルトは、調和と一貫性をもってブランドをまとめてくれるだろう」。