ワールドの2024年3〜8月期連結業績(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前年同期比6.8%増の1101億円、本業のもうけを示すコア営業利益が同39.2%増の80億円、純利益に相当する中間利益が同41.9%増の46億円だった。全ての利益段階で計画値を達成しながらも、鈴木信輝社長は基幹のブランド事業におけるコア営業利益の計画未達を反省。特に7〜8月の猛暑・残暑対応に苦慮し、「やるべきことができなかった」と課題感をにじませた。
ブランド事業の売上収益は前年同期比7%増の965億円、コア営業利益が28%増の50億円。数字面は悪くなく映るものの、コア営業利益は期初計画に対しては16%の未達であり、また「通期の過去最高益(132億円)にもビハインドしている」と冷静だ。
夏MDの練り込みがまだ足りなかった
課題を残したのは、百貨店ブランドを中心とするミドルアッパーブランド。夏から秋にかけての越境期(7〜9月)に、長引く猛暑に対応できる商品のバリエーションと在庫量が足りず、販売機会ロスを招いた。「もちろん今春夏も、猛暑に対しての準備はしていた。これまでのMDカレンダーでは『春夏』と一緒くたにしていたが、これを『春』と『夏』に明確に分け、特に夏は強化したはずだった。ただ、練り込みがまだまだ甘かった」と振り返る。「来夏は、特に対策が足りていなかった7月と8月を独立したシーズンと考え、さらに細分化したMD計画を立てる。すでに準備に動き出しているし、1つ1つ(強化項目を)指差し確認してMDをチェックするくらいの意識でなくてはならない。私もそこに加わりながら準備を詰めていく」。語り口はいつものように淡々とロジカルだったが、内に秘めた悔しさと「打倒残暑」への決意をうかがわせた。
そのほかの事業セグメントのコア営業利益については、デジタル事業が前年同期比2.6倍の12億円、販売などの仕組みを外販するプラットフォーム事業が1.8倍の8億2300万円と、いずれも計画を大幅に上回った。デジタル事業においては、ブランド古着「ラグタグ(RAGTAG)」は店舗出店・改装に積極投資し、高級バッグレンタルの「ラクサス(LAXUS)」はサービスの値上げにもかかわらず順調に進捗した。
通期の連結業績予想は、売上高2300億円、営業利益155億円、当期利益85億円の期初計画を据え置いた。