矢野経済研究所は2013年の国内アパレル市場の調査結果を発表した。同年のアパレル総小売市場規模は、前年比101.4%の9兆2925億円。品目別では、婦人服・用品市場が前年比101.4%の5兆8290億円、紳士服・用品市場が同101.2%の2兆5475億円、ベビー・子ども服・用品市場が同102.2%の9160億円と、いずれも前年を上回った。
百貨店は、都心が伸び、地方が縮小する「エリア格差」が明確になっており、全体ではマイナスに推移。だが、大手百貨店の都心旗艦店では大型改装が相次いだ影響で、衣料品売上が伸長。景況感の回復を受け、都心部の大手百貨店では高額商品が堅調に推移した。大手百貨店・専門店を中心に価格重視から品質やブランドを重視する行動が見られ、客単価の上昇傾向が顕在化した。地方百貨店は、周辺に大型のショッピングセンターが多く、厳しい状況が続いている。また、百貨店やファッションビル等はインターネットと実店舗の相乗効果を狙い、通販事業に注力している。
専門店は、ベーシックカジュアルを扱う大手SPAや大手セレクトショップが好調。駅構内や空港などの施設に常設店を構えるなど新業態開発も進めており、今後も成長が見込まれている。
量販店は、機能性衣料やオリジナルブランドを積極的に展開。既存ブランドのリニューアルやテレビCMなどの販促活動も行ったが、ミセス向けというイメージを払拭できず、振るわなかった。若年層を中心とした次世代顧客はまだ獲得できていない。
通信販売などのその他チャネルでは、インターネット通販専業だけでなく、大手アパレルやセレクトショップが自社運営の通販事業に注力している。通販と実店舗によるオムニチャネル戦略はインターネット通販を中心に伸長。今後さらに拡大する見込みだ。
■「アパレル産業白書2014」
発刊日:9月25日
定価:11万円