「WWDJAPAN」は9月9日号のサステナビリティ特集「How to be a Sustainable Apparel」を振り返るリアルイベントを9月17日に開催した。セミナーは2部構成で、東急プラザ原宿「ハラカド」の3階にあるカフェ&バー「BABY THE COFFEE BREW CLUB」で行った。
第1部では、井野将之「ダブレット(DOUBLET)」デザイナーと徳永裕美リトルリーグ カンパニーオフィサー 兼 ロンハーマン事業部 デザイン生産部部長、向千鶴「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターがトークを繰り広げ、サステナビリティ×アパレルなモノづくりについてプレゼンテーションした。
第2部は「環境配慮型の素材とは?」をテーマに、国際的な特殊化学品メーカーであるイーストマンケミカルのルース・ファレル(Ruth Farrell)=ジェネラル・マネジャー(GM)と、福井県のテキスタイルメーカー、明林繊維の村上貴宣社長が登壇。木材パルプ(セルロース)に廃棄物由来の再生プラスチックを組み合わせたイーストマンケミカル独自のジアセテート繊維“ナイア・レニュー”を題材に、再生カーボンテクノロジーなどについて対談した。
対談は「サステナブルな素材は何か」という問いかけからスタート。ファレルGMは「持続可能であるということは、それらの周囲を取り巻く360度を見るべきだ」と言い切った。「原料の調達から製造工程、製品の完成に至るまで、全てをチェックする必要がある。世界には廃棄という大きな問題があり、どのような繊維であっても『持続可能である』と主張するためには、リサイクル素材や循環型の材料を使用しているかが重要だ。また、社会に対する配慮という視点も欠けてはいけない」とコメントした。
企業にとって悩ましいのは、環境配慮と収益性の両立だ。「サステナブルな素材と、安価な素材で悩む際はどう判断するか?」の問いには、明林繊維の村上貴宣社長は「地球環境の保護と、産地の持続化を大切にしているため、当社は必ずサステナブルな方を選択している。理由は、企業イメージアップにつながるから。そして最終的にその判断が利益にもつながると考えている」と回答。ファレルGMは環境配慮型素材は高額である、というとらえ方自体がすでに過去のものになりつつある前提で、「高価なものから安価なものまで、価格の幅が広まっている。5〜10年前はラグジュアリーブランドが取り入れていたが、昨今はファストファッションブランドでも使われるようになってきた。そして、“ナイア・レニュー”がそうであるように、エレガントなアパレルのデザインにも対応できるなど、バリエーションが広がっている。サステナビリティの勢いは年々増しているため、ファッション業界でも『持続可能かどうか』が求められるようになってきている」と語った。
イーストマンケミカルはアメリカ・テネシー州の化学製造企業で、気候変動や廃棄物の危機、そして世界への配慮の3つの課題に取り組み、生活の質を高める素材の製造に注力。「持続可能なテキスタイルをすべての人が利用可能にする」をビジョンに掲げ、日本市場での販売数拡大を目指している。
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