ビジネス

ファストリ、初の売上高3兆円突破 「毎年5000億円増収」「10兆円体制を準備」

ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」を擁するファーストリテイリングは2024年8月期、売上高に相当する売上収益が初めて3兆円を突破した。営業利益も5000 億円を超えた。伸長率は売り上げで前年比2ケタ増、営業利益が同3割増、営業利益率は16.1%と、「ユニクロ」創業40周年でなお高収益・高成長を続けている。決算会見に登壇した柳井正 会長兼社長は、「今後もさらに急成長していく。毎年5000億円ずつ売り上げを伸ばしていくと数年のうちに売上高5兆円に届く。将来の10兆円に向け、具体的な計画と準備を進めていく」と意気軒高だ。

24年8月期の連結業績は、売上収益は3兆1038億円(前期比12.2%増)、営業利益は5009億円(同31.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3719億円(同25.6%増)と大幅な増収増益で過去最高業績だった。海外の多くの国・地域やジーユーなど収益の柱の多様化が加速し、グローバル全体で稼げる体制が強固になった。「ユニクロ」の知名度がグローバルで高まり、各国各地域で現地の顧客層が拡大するとともに、観光客の需要も取り込んだ。これまでの上期(9~2月、秋冬)の利益が大きく、下期(3~8月、春夏)は少ないという利益構造から、通年を通して稼げる体質に変革した。春夏シーズンの商売の柱となる商品の拡充によるもので、シーズン末まで戦略的に売れ筋商品の在庫を持ち、ニュースを継続的に発信して話題性を創出し続けたことで、下期の商売を拡大できた。国内だけでなく欧米ユニクロ事業でも下期に2ケタの営業利益率を継続的に出せる収益構造になった。

海外ユニクロ事業は売上収益が1兆7118億円(同19.1%増)、営業利益が2834億円(同16.6%増)で、とくに欧州、北米、東南アジア・インド・豪州地区は大幅な増収増益だった。グレーターチャイナ(中国・台湾・香港)は売上収益6770億円(同9.2%増)、営業利益1048億円(同0.5%増)、韓国、東南アジア・インド・欧州が売上収益5405億円(同20.2%増)、営業利益976億円(同24.8%増)、北米が売上収益2177億円(同32.8%増)、営業利益348億円(同65.1%増)、欧州が売上収益2765億円(同44.5%増)、営業利益465億円(同70.1%増)だった。

国内ユニクロ事業は売上収益9322億円(同4.7%増)、営業利益1558億円(同32.2%増)だった。業績予想を大幅に上回り、過去最高業績を更新した。既存店は客数が0.8%減だったものの、客単価が4.1%増となり、既存店売上高は3.2%増だった。EC売上高は1369億円(同2.3%増)で、EC化率は14.7%となった。

ジーユー、売上高3000億円突破

粗利率は通期で50.8%で、前期に比べて2.9ポイント改善した。とくに上期に粗利益率が3.6ポイント改善したのは、売上げ動向に応じた発注のストップ&ゴーを徹底し、追加生産に使用するスポット為替レートの影響を低減することができたため。販管費率は34.2%で0.5ポイント改善した。増収したことで人件費比率や広告宣伝費比率が低下。とくに人件費は、報酬引き上げ施策により、一人当たりの報酬は継続的に上昇したものの、店舗運営の効率化で一人当たり売上高も大幅に改善し、人件費比率が改善した。

ジーユー事業は増収大幅増益で、06年のブランド設立以来、18年で売上げが3000億円を突破。売上収益は3191億円(同8.1%増)、営業利益337億円(同10.6%増)だった。EC売上高は約8%の増収で、EC化率は約12%となった。“ヘビーウェイトスウェット”や“スウェT”、米ニューヨークを拠点に開発した“バレルレッグジーンズ”など、グローバルのマストレンドを捉えた商品の販売が好調だった。期首の23年9月にニューヨークに商品本部を開設し、海外のトレンドを取り込んだ商品開発を強化してきた成果であり、今期はグローバル本部に昇格させるとともに、マーケティング部門も新設し、さらにグローバルトレンドのリサーチ&商品化に力を入れる。9月19日にはニューヨーク・マンハッタンのソーホー地区に米国1号店とオンラインストアも出店している。

「セオリー(THEORY)」「プラステ(PLST)」「コントワー・デ・コトニエ(COMPTOIR DES COTONNIERS)」などを擁するグローバルブランド事業は、「プラステ」と「コントワー・デ・コトニエ」の事業構造改革で店舗数が減少したこともあり、売上収益は1388億円(同2.0%減)とマイナスだったが、営業利益は6億円(前期は30億円の赤字)と黒字化した。

25年8月期は
連結売上高3兆4000億円予想

期末店舗数はユニクロが国内797店舗(出店37店舗、退店40店舗、前期に比べて3店舗減少)、海外1698店舗(出店144店舗、退店80店舗、前期に比べて64店舗増加)、世界でユニクロは2495店舗となった。ジーユーは38店舗を出店し、29店舗を退店、期末店舗数は472店舗。グローバルブランド事業を含めて、グループの店舗数は3595店舗となった。

25年8月期は重点施策として、「人材への投資の強化」「情報製造小売業の進化」「グローバル化の加速」「グループブランドの拡大」「事業拡大がサステナビリティにつながるビジネスモデルの構築」の5つを軸に取り組む。業績予想は連結売上収益が3兆4000億円(同9.5%増)、営業利益5300億円(同5.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3850億円(同3.5%増)を見込む。ユニクロでは出店180店舗(うち、海外150店舗)、退店100店舗(うち、海外70店舗)、期末店舗数は2575店舗を予定する。ジーユーは32店舗を出店し、15店舗を退店、期末店舗数は489店舗を計画。グループ全体では3698店舗となる見込みだ。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ミラノコレ総括 「プラダ」のミックス&マッチにトレンドの兆し

「WWDJAPAN」10月7日号は、2025年春夏ミラノ・ファッション・ウイークを総括します。今季はデザイナーらが考える「生き方」が表出したシーズンでした。個々が抱える生きづらさを出発点に、批判の目を持って疑問を呈したり、ポジティブに現実を受け止め軽やかに生きるための術を提案したりといった表現が目立ちました。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。