バリー(BALLY)のニコラ・ジロット(Nicolas Girotto)最高経営責任者(CEO)は、退任することをビジネスSNSの「リンクトイン(LinkedIn)」に投稿した。バリーは、8月15日に米投資会社リージェント(REGENT)に買収されたばかり。
情報筋によれば、後任にはロベルト カヴァリ(ROBERTO CAVALLI)やディースクエアード(DSQUARED2)のジェネラル・マネージャーを務めていたエンニオ・フォンタナ(Ennio Fontana)が就任するのではないかとの憶測が広まっているという。なお、バリーは本件についてコメントを差し控えるとした。
ジロットCEOの経歴とコメント
ジロットCEOは、フランス・アジャン生まれ。モンテスキュー・ボルドー第四大学を卒業し、1997年にアイウエア小売店グランドビジョン・グループに入社。その後、イタリアのアパレルブランド「コンビペル(CONBIPEL)」を経て、スイスの大手免税店ニュアンス・グループ(NUANCE GROUP)で最高財務責任者に就任。2015年にバリーに入社し、19年にCEOに昇格した。
同氏は、自身の「リンクトイン」に、「1851年の創業以来、クラフツマンシップのシンボルであり続けているブランドを率いたことは、私の人生の中で最もやりがいのある経験の一つだった。任期中には、コロナ禍の混乱、デジタル化、サステナビリティに関する取り組みなどさまざまなことをチームと共に対応したほか、『バリー』が(20年ぶりにショーを開催して)グローバルな存在感を示すところを目撃した」と投稿。「新たなチャレンジをするため」同社を離れると述べた。
「バリー」の歴史と最近の動向
「バリー」は1851年、カール・フランツ・バリー(Carl Franz Bally)がスイス・シェーネンヴェルトで創業した。当初はサスペンダーなどを製造するリボン工場だったが、シューズの生産を始め、急激に事業が拡大。1951年には、カールの孫であるマックス・バリー(Max Bally)が、ブランドの代名詞となるメンズのドレスシューズ“スクリーブ(SCRIBE)”を発表した。マックスの死後、同社は一族以外の起業家に売却されたものの、事業は存続。2018年には、中国最大の繊維メーカーである山東如意がバリーを買収する取引で合意に至ったが成立せず、その後はルクセンブルクの持株会社JABホールディングの傘下となった。24年8月15日、リージェントがJABホールディングから「バリー」を買収した。
クリエイティブ面では、22年1月に「ルード(RHUDE)」のルイージ・ビラセノール(Rhuigi Villasenor)創業デザイナーをクリエイティブ・ディレクターに迎えたものの、23年5月に退任。これに伴い、22年10月に「バリー」に加わったシモーネ・ベロッティ(Simone Bellotti)がデザイン・ディレクターに就任した。