飲食店や商業施設などの企画・運営を行うソルト・グループは10月11日、世界一の長寿クリニックを目指すラグジュアリーな複合施設「ザ ハンドレッド ロンジェビティハウス(THE HUNDRED ロンジェビティハウス)」をオープンした。先端的な再生医療と古来の伝統医学であるアーユルヴェーダ、伝統的な日本の発酵料理を掛け合わせたオーダーメード施術プログラムを提供し、心身の健康を促進する。プレス向け内覧会に参加した筆者が、ビルの5〜9階に位置する同施設を詳細にリポートする。
5、6階 クリニック
5、6階はクリニックスペースだ。自家または他家由来の細胞や組織を取り出し、培養・加工し、失われた組織や臓器を修復する先進的な治療を提供する。安全性を担保した培養施設を常に見学できるのはまれ。同分野の第一人者である澤芳樹特任教授と日比野佐和子特任准教授が指揮を執り、脂肪由来幹細胞上清(27万5000円)や歯髄由来幹細胞上清(27万5000円)、NMN点滴(8万8000円)などのメニューをそろえる。患者の目的と予算、治療に費やしたい期間などに応じてオーダーメードでプランを作成する。
5階は施術用の個室空間を6室用意し、6階で培養した細胞や組織を点滴や注射で体内に注入する。リラックスして施術が受けれるよう、室内は木材を基調としており、天井が高く自然光が降り注ぐ。6階には手術室とCPC室(細胞培養加工施設)を設置し、細胞の採取から培養までを行う。いずれの階も、白基調の一般的なクリニックの雰囲気をあえて出さないようにデザインした。家族や友人と利用できるペア診療室も用意する。
7階 会員専用の特別フロア
7階はメンバーシップ会員専用の予約制特別フロアで、同施設の全てのサービスを受けられる。バーカウンターや厳選したデザイン家具を配し、自宅のようにリラックスしながらくつろげるほか、ゲストを招いての交流も可能だ。
8階 アーユルヴェーダの「ウェルネスサロン」
8階は「ウェルネス サロン」と称し、パートナーシップを結ぶスワルによる、伝統的な予防医学アーユルヴェーダのトリートメントを提供する(約225分、4万4000円〜6万6000円)。ネパール出身のアーユルヴェーダ医師資格を持つ専門家が常駐し、体質・体調診断によるトリートメントプログラムを処方。5、6階の再生医療クリニックとの併設により、幹細胞培養液を含むハーブオイルを用いて、デトックスとアンチエイジングを掛け合わせたトリートメントを施す。施術の効果を最大限に引き出すため、薬草を配合したミスト・シャワーを用意するほか、ホリスティックウェルネスの観点から、日常生活の過ごし方やセルフケアのアドバイスまでサポートする。
9階 発酵料理「百薬」
9階では滋賀徳山鮓の監修の下、「病気を治す薬と、健康を増進する食事は同一のもの」という“医食同源”の考えから、“体が喜ぶ”料理を提供する。徳山鮓のスペシャリティである熟鮓や季節のジビエ、厳選した季節の食材を使った料理のほか、日本酒やワイン、お茶を振る舞う。和を基調とした空間デザインで、プライベート性を重視した個室と、ライブ感を味わえるカウンターを用意する。
メンバーシップについて
メンバーシップ会員限定で、澤特任教授が研究開発するヒトiPS細胞由来心筋細胞培養上清点滴のメニューを用意。また日比野特任准教授の診察によるオーダーメードメニューの提案や、8階の「ウェルネスサロン」最高責任者を務めるニーマル・ラージ・ギャワリによるプライベートセッション、9階の「百薬」の優先予約なども提供する。
井上ソルト・グループCEOが作る日本風ロンジェビティハウス
井上盛夫ソルト・グループ最高経営責任者(CEO)は、もともと再生医療に興味があったという。「長寿を意味する“ロンジェビティ”に関わる科学は発展を続けているが、それを体験できる場所はまだ少ない。スイスやモルディブなどのロンジェビティハウスを見て、これを日本風にしたら面白いだろうと考えていた。再生医療で細胞を整え、アーユルヴェーダで心を整える。“医食同源”の考えから、日本の味の原点である発酵料理にも着目した」と話す。富裕層をターゲットとし、国内だけでなく海外からの顧客もくつろげるような空間を目指す。店舗数を増やすことは重視していないが、相応しい場所があれば多店舗展開も視野に入れている。