TSIホールディングスの2024年3〜8月期連結業績は、売上高が前年同期比2.7%増の752億円、営業損益が2億2100万円の赤字(前年同期は5億3200万円の黒字)、純損益が7億9100万円の赤字(同14億円の黒字)だった。在庫量適正化を目的とした値引き販売増加などによる利益の悪化は、当初計画より織り込み済みだった。「計画以上の売り上げ成長、構造改革効果の発揮により、収益性は着実に向上している」と同社。営業損益、純損益ともに赤字だったが、期初計画に対しては赤字幅は小さく済んだ。
国内実店舗の売上高は、前年同期比5.1%増。チャネル別では、百貨店が店舗撤退などの影響で前年同期比微減の93億円となるも、非百貨店(ファッションビル、駅ビル、アウトレットなど)が同6.8%増の351億円とカバーした。EC売上高は同1.6%減の164億円だった。
「パーリーゲイツ」は“成長”から“維持”へ
ブランド別では、低迷していた「ナノ・ユニバース(NANO・UNIVERSE)」が前年同期比2.8%増の64億円と上向いたのがトピックスだ。いっときはサードパーティーECの比重が大きくなっていたものの、これを小さくする一方、店頭の意見に耳を傾けた上でのMD、VMDの改善が効き始めている。「マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)」は同2.3%増と引き続き増収基調にあり、派生ブランド「エムエイチエル(MHL.)」と共に世界観をしっかりと表現できるリアル店舗の開発、欧米市場の開拓を進める。稼ぎ頭の「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」は前年同期比1.5%減の78億円。「成長よりも維持のフェーズに入っており、東南アジアなど海外への進出がカギになる」と下地毅TSIホールディングス社長。
同社は9月、中期経営計画の収益構造改革の一環として、25年2月期末をメドに本社人員の2割を削減すると発表した。これについては「グループとして希望退職者の募集という形はとらないものの、不採算ブランドの撤退などの形で個別にスリム化を図る」と言及した。
25年2月期通期連結業績については、売上高1600億円(前期比3.0%増)、営業利益20億円(同13.6%増)、純利益40億円(同17.5%減)の期初予想を据え置く。