パルグループホールディングス(HD)の2025年3〜8月期連結業績は、売上高が前年同期比7.6%増の1012億円、営業利益が同14.6%増の118億、経常利益が同15.1%増の119億円、純利益が同9.5%増の76億円だった。上期として過去最高の業績を更新した。
好業績の大きな要因は「スリーコインズ(3COINS)」での大幅増収と利益面のV字回復にある。売上高は同16.8%増の367億円。通期予想では100億円超の売上純増が見込まれている。店舗の大型店化をすすめ、300円超の商品構成を高めたほか、価格設定の見直しを図ったことで売り上げが伸び、粗利益率が大きく回復した。300円超の商品は現在4割を占める。また年初に経費削減プロジェクトを立ち上げ、人件費や物流費などのコストコントロールにも注力。雑貨事業全体でも営業利益が同77.9%増の31億円となるなど収益性改善に貢献した。為替相場に振り回されない強い事業体質づくりに前期から取り組んできたが、具体的な政策の結果がようやく数字として表れてきた形だ。
事業会社パルの小路順一社長は「『スリーコインズ』の昨年度の業績は増収だったものの、利益が期待値には届いていなかった。急激な円安に対応できなかっただけでなく、人件費、物流費、利益率を見直したところ、意外なことに300円超の商品で利益があまり取れていないことが判明した」と振り返る。そこで商品価値に見合った価格設定に変更するため、値上げを断行。今年6月頃から粗利益率で大きな成果が見え始めた。人件費の効率化については、1店舗あたりの効率を上げるため、人件費とシフトの見直しを行った。物流費の改革に関しては、今秋から結果が出ると見ている。
「チャオパニックティピー」高成長続く
衣料事業の売上高は同3.8%増の598億円だった。タウン系ブランドが好調に推移し、苦戦するヤングカジュアル系ブランドの減収を補った。なかでも、百貨店中心に展開している「ビアズリー」が同30.7%増の33億円、駅ビル中心の「ディスコート」が同14.7%増の52億円とけん引した。「チャオパニックティピー」は同8.7%増の55億円。前期で通期売上高100億円を突破した「チャオパニックティピー」に次いで「ディスコート」も100億円ブランドの射程圏内に入ってきたという。
既存店売上高は店舗・ECで同2.4%増、店舗のみで同横ばい、ECのみで同8.5%増。EC売上高は同10.3%増の250億円で、とくに自社サイト「パルクローゼット」が同18.4%増だった。衣料売上高に占めるEC化率は41.8%と前年同期比で2.4ポイント増加した。アプリ会員数は1054万人と大台を突破した。
同社は今年6月にサイバー攻撃に見舞われ、一時的に業務に支障が出た。その影響で7月の仕入れを一部絞り込んだため販売に影響したものの、7月下旬にはシステムを復旧。8月5日には通常運用を再開し、直接の損害は期初に想定していた特別損失の範囲内に収まる見込みだ。
ノーリーズを連結子会社化
7月に開業した奈良県下市町の複合商業施設「KITO」については、オープンが繁忙期と重なったこともあり、売り上げ、来場者数ともに予想以上に好調だった。プロジェクトマネージャーの井上真央氏は「地方創生のテーマを掲げつつ、事業として成立させる目的はとりあえずこの夏は達成できた。引き続き、イベントにも注力していきたい」と話している。
同社は15日、持分法適用関連会社のノーリーズの連結子会社化も発表した。2019年8月に39%の株式を取得していたが、創業オーナーから追加で20%の株式を取得し、持分比率を59%とした。ノーリーズは、ソフトなドレスアップ系ブランドで昨今のトレンドを追い風に業績を伸ばしている。パルマップのブランドポートフォリオに不足していたコンサバ系を強化することにより、さらなる企業価値向上を図りたい考えだ。
上期の好業績を受けて通期連結業績を上方修正する。修正後は売上高2092億円(修正前は2035億円)、営業利益229億円(同201億円)、経常利益232億円(同203億円)、純利益148億円(同129億円)とする。