PROFILE: (左)シルヴィア・フェンディ/「フェンディ」メンズ&アクセサリー アーティスティック・ディレクター (右)イラリア・ヴェントゥリーニ・フェンディ/「カルミナ・カンプス」デザイナー兼最高経営責任者
欧米の富裕層の場合、ワイナリーのオーナーであることはさほど珍しくない。しかし、広大な土地を購入して農場を開き、一からぶどうを育ててワインを製造し、敷地内でホテルやレストランまで運営するとなると話は別だ。イタリアのファッション業界をけん引し、ラグジュアリーを知り尽くしたトップ層が、オーガニック農場の経営に乗り出した理由とは?(この記事は「WWDJAPAN」2024年10月21日号からの抜粋です)
一目で「これだ!」と感じた運命の地
「フェンディ(FENDI)」の創業地であるローマの中心部から北東に車でおよそ40分の位置に、イ カサリ デル ピノ(I CASALI DEL PINO)はある。“大地の詠唱”という意味を持つこのオーガニック農場兼ホテルは、創業者の孫であり、ブランドのクリエイティブ面を手掛けるシルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)=メンズ&アクセサリー アーティスティック・ディレクターと、その姉妹で、現在は自身のブランド「カルミナ・カンプス(CARMINA CAMPUS)」を率いるイラリア・ヴェントゥリーニ・フェンディ(Ilaria Venturini Fendi)=デザイナー兼最高経営責任者が情熱を傾ける一大プロジェクトだ。
イラリアは、2004年にこの地を初めて訪れた際に「運命を感じた」と話す。「目にした途端、“これだ!”と思った。ローマ近郊の農場で育った父のジュリオの影響なのか、私も子どもの頃から自然や野外での活動が大好きだった。この土地を手に入れることは私の中ではもう決定事項だったが、それには一緒に経営するパートナーとして、シルヴィアを説得する必要があった」と当時を振り返る。シルヴィアは、「イラリアは昔からおてんばで、飼い犬と一緒に野原を駆け回っていた。ぜんそくだったこともあり、田舎にいるときのほうが幸せそうだったから、農場をやりたいと言い出しても全く驚かなかった」と感慨深げに話した。
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