25-26年秋冬シーズンのファッショントレンドは、どうなるのか。パリの「プルミエール・ヴィジョン」(7月2〜4日)、ミラノの「ミラノウニカ」(7月9日〜11日)、LAの「テキスタイルショー(Textile Show)」(9月25−27日)と3つの素材見本市を回ってきたテキスタイルデザイナーの梶原加奈子KDSデザイン代表が、2025-26年秋冬トレンドを詳しくリポートする。
25-26年秋冬シーズンは、全体として「ナチュラルとデジタルの融合」と「サステナブル社会に向かう」、この2つの大きな流れは継続しそうです。「多様性」をキーワードにした概念がデザインを先導し、より多岐に渡るボーダーレスな表現が増える一方で、経済の不安定さが影響して表現の慎重さも同時に感じられるシーズンです。具体的には、この数年のトレンドである「クラシック回帰&ヴィンテージ」がさらに大きな軸となり、加えてインドやアフリカ、中南米など、今後の経済発展と注目が高まっている地域のアート&クラフトデザインの要素と、AIを駆使したようなデジタル感のあるグリッドや光沢、グラデーションをミックスする発信が多くなっています。「シンプル」と「クチュール」の両極端な方向性を選択しつつ、さらにその先を探求するディレクションが増えています。
トレンド以外の要素も重要です。欧米の大手ファッション企業のサステナビリティ基準はますます厳しくなっており、テキスタイルの分野でもトレーサビリティーやエコなどの「認証」が意識されるようになっています。そのためテキスタイルの開発は、世界規模で革新的な代替素材やデジタルを駆使したトレーサビリティーに向かっています。
2025-26年秋冬シーズン向けのプルミエール・ヴィジョン(Premiere Vision)、ミラノ・ウニカ(Milano Unica)、LAテキスタイルショー(Textile Show)、3つの大型素材展示会を訪れ、最も印象的だったのは「クラシック&ヴィンテージ」でした。ここに「感覚的に安らぐもの」をスパイスのように加えて、「感情や感覚」を刺激する触感やテクスチャー感、曖昧なボカシの表現が大きなトレンドになりそうです。「長期的」という視点も上質な素材やデニム、ゴールドなどの人気に繋がり、各展示会で注目されていました。これらのキーワードをもとに、カラー、素材、プリントに分けて2025-26年FWのデザイン傾向をお伝えしていきます。
カラートレンド
2025-26年秋冬シーズンは赤系の色が際立つシーズンです。彩度の高い赤やマゼンタの素材が目立ちますが、パステルピンク、テラコッタ、ワインレッド、ブラウンまで、様々な暖色の色味が豊富です。逆境を乗り越えるような、活動的で情熱的な色がクラシックムードを盛り上げていきます。
2024年からキーカラーになっているパステルイエローも安らぎ感を生み出す色として継続して人気です。2025-26年秋10冬は光沢感が加わり、シャンパンゴールドやゴールドの色調まで広がり増加します。付属や資材でもイエローからキャメルの色合いに関心度が高まりそうです。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。