強いモチーフの掛け合わせなどで独特の存在感を放ってきた「ヨシオ クボ」。だからこそ、アジアを筆頭とする海外では、他の東コレメンズデザイナーよりもはるかに大きなビジネス築いている。しかし、ちょっぴりアクが強い洋服は、逆に国内で広がりきらないという弱点も。ブランド設立10年を迎え、国内でもより大きなビジネスを構築しようと、さらに大勢の男性を魅了する"ジェネリック 衣料品"の開発に取り組んだ。
まず今シーズンは、強いモチーフの組み合わせを極力回避。代わりにネップ入りのヘリンボーンやフェルトなど、メンズの定番素材によるハイブリッドに取り組んだ。ボンバーズジャケットにはアラベスクのようなモチーフを描いたローゲージニットを組みこみ、シンプルなウィンドー・ペン(単格子)のテーパードパンツをコーディネイト。ブラックフェルトのポンチョやブルゾンなどには毛糸でタイガーを描くなど、キャッチーなアニマルモチーフにもトライした。中盤までは、柄と言えば男の定番であるカモフラと、織りで描いた「GENERIC CLOTHING」という文字くらいで、ここ1年のアウトサイダー的なムードから脱却した。
終盤は、トンカチ&ハケや、落ち葉などをリアルなプリントで描いたブルゾン&パンツのシリーズ。一見すると、いつも通りインパクトが強い印象だが、それは上下同じモチーフを使ったコーディネイトだから。やはり単格子のスウェットやブラックパンツ、仕上げに大きなダッフルコートを羽織るとリアルプリントも落ち着いて見える。アクのある商品を求める既存顧客も満足させながら、よりリアルなピースで新規も狙っていく。中堅デザイナーの確固たる意志を感じるコレクションだ。
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