毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年10月28日号からの抜粋です)
大塚:コロナ以降、個人でPRを始める人が増えたと感じていましたが、最近はさらにそうした個人のPR同士がプロジェクトごとに一緒に組んで、仕事をしているのを見るようになりました。2月26日号付録の「WWDBEAUTY」でビューティ業界のPR特集をしましたが、ファッションでは数年ぶりの特集です。
利川:入社2年目の私は東京コレクションや展示会でPRの人に会うことが多いですが、ランウエイショーのアテンドからコレクションの説明までなんでもこなす姿を見て、「どういう仕事なんだ?!」とやや混乱気味でした。この機会に知りたいと思い、特集に参加しました。
大塚:PRといえば、以前は商品のリースや返却、リリースの作成をするのが主業務というイメージでしたが、今回取材したら、キャスティングや展示会への集客、ビジュアルのプロデュースなど、求められるものが多様化していて、それぞれに特化したものを持っている人が活躍していると感じました。そして、うまくいっている人は、「やらないこと」の線引きが明確。「なんでもかんでもやります」ではなく、自分の強みを磨いている人が独自の立ち位置を築いているようでした。
無限に仕事を探し出せる職種
利川:テンの志賀光さんが語っていた「ほかのPRの人たちが気付いていない“業務の穴”を見つけ、ブルーオーシャンのプロを目指す」というのも印象的でした。無限に仕事を探し出せる職種でもあるのだなと思いました。
大塚:今回の取材で感じたのは、編集者とPRってすごく近い職種だということ。編集者もメディアを作るだけでなく、場を作ったり、人と人をつなげたりするようなことが多いので、話を聞いているうちに「(PRは)僕らとほとんど同じ仕事をしている!」と思うことが多かったです。今の30代、40代は横のつながりが強くて、互いに補い合える。だから独立して個人でPRをする人が増えているのかもしれません。もちろん、ワンストップで全てを網羅するPR企業も企画力向上や新人の育成に注力しており、総合力で進化しています。
利川:「本当にいいと思えるブランドしか担当したくない」と、PRがクライアントとなるブランドを、能動的に選んでいるのも意外でした。そして、やはり業務が多様で、いかようにも領域を広げられます。編集者も同じですね!