伊勢丹新宿本店は1日、本館4階の一部をリフレッシュオープンした。目玉は「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のウィメンズブティックの新設だ。
「ルイ・ヴィトン」の本館への誘致は、ポップアップストアを除けば、90年を超える同店の歴史の中でも初めて。同店のラグジュアリーブランドのバイイング歴20年の高木隆人・新宿婦人商品部 婦人エターナル2 バイヤー は、「長年の夢がかなった」と感慨を深める。隣接するメンズ館には先行して3月にメンズショップをオープンしたが、「ファッションコンシャスな客層の取り込みと他の売り場への総客効果が出ている」と手応えを話す。
伊勢丹新宿本店は、ブランドの物理的な垣根をなくすことによる、売り場の統一環境にこだわってきた。他のブランドと世界観が混ざることを好まないラグジュアリーブランドにおいても、例外を許さなかった。その条件を頑なに拒み続け、長らく出店の折り合いがつかなかったのが「ルイ・ヴィトン」だ。「ただ、これまでお客さまからは『ルイ・ヴィトン』は本館のどこにあるのか、というお問い合わせを何度も頂いてきた。ブランド側も『これだけの要望があるのであれば』と、徐々に出店に前向きになっていただけた。そして何より、世界一の百貨店として、世界一の『ルイ・ヴィトン』の店を作りたいという熱意が伝わったのだと思う」と高木バイヤー。
ブティックの内装やMDについても、「伊勢丹本店らしい表現」を突き詰めるべく議論を重ねた。最大の特長が商品展開の半分弱を占めるウエア類だ。「ラグジュアリーブランドは総じてバッグがMDの柱だが、この本店においては、『世界で一番ウエアが売れる』というラグジュアリーブランドのブティックも多い。『ルイ・ヴィトン』についても、ブランドを単なるステータスとしてではなく、“ファッション”として取り入れるお客さまに向けて尖らせる」と高木バイヤー。「売れ筋や定番にこだわらず、ランウェイで目立ったファッショナブルな商品も積極的に買い付けたい」とし、店舗限定品や先行販売品も積極的に取り扱う。フロアでは「最も広いブティックの1つ」という広々とした店内は、ハンギングしたウエアと壁面・什器展開する雑貨類をシームレスに見て回ることができる。伊勢丹新宿本店と大通りを挟んで向かいにある「ルイ・ヴィトン」新宿店とも相互送客を促して、MDを補完する。
なぜ1階ではなく4階に?
出店交渉の初期段階では、店の玄関口である1階への出店も候補に上がったが、「ファッションの伊勢丹らしい、高感度な富裕層のお客さまが集まる」ことから、最終的には4階でまとまった。4階は昨年12月に「シャネル(CHANEL)」、今年の1月から2月にかけて「グッチ(GUCCI)」と「ティファニー(TIFFANY & CO.)」、8月に「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「プラダ(PRADA)」と、相次ぐラグジュアリーブランドの誘致で高感度化を進めている。客層も従来の50代以上中心から30代後半〜40代中心に若返った。
今回のリフレッシュオープンに際しては「ルイ・ヴィトン」に隣接する自主編集売り場「プライムガーデン」も併せて新装。この秋冬を通して新規に10ブランドを追加する。「フィービー ファイロ(PHOEBE PHILO)」「ザ・ロウ(THE ROW)」「ルメール(LEMAIRE)」といった上質な日常着を提案する海外ブランドの他、「オーラリー(AURALEE)」「マディソンブルー(MADISON BLUE)」といった品質の高いジャパンブランド、フレグランスの「パフューマー エイチ(PERFUMER H)」の取り扱いをスタート。ハイジュエリーとファインジュエリーも導入して、高感度なライフスタイル型MDを突き詰める。
伊勢丹新宿本店の近藤詔太店長は「当店はMDの高感度・上質化を着実に進めてきたが、今回のリフレッシュオープン、そして『ルイ・ヴィトン』が加わったことで、その完成にぐっと近づいた」と話す。