サンコロナ小田(石川県小松市、小田外喜夫社長)は、超極薄オーガンジーの国内外の有力ブランドへの販売を強化する。1㎡で10グラムを切る世界最軽量クラスの5〜7デニールのモノフィラメント使いの商品や、伝説的な素材「モルフォテックス」使い、ハイテク染色として知られるスパッタリングで加工した商品などをハイエンドシリーズの「ヴィーナスオーガンザ(VENUS ORGANZA)」として集約する。価格は1メートルあたり1500〜8000円になる。小田外喜夫社長は「超極薄のオーガンジーは、間違いなく日本企業がトップを走る分野。世界最高の技術と製品を、世界の最高クラスのブランドにぶつけていく」と意気込む。
サンコロナ小田は、モノフィラメントを使ったオーガンジー大手。細い糸の連なったポリエステルやナイロンなどの合繊糸を一本のモノフィラメントに分ける「分繊」技術に強みがあり、分繊したモノフィラメント分野では世界トップクラスの技術とシェアを持つ。
同社は自社で分繊したモノフィラメントを使って製造したオーガンジーをストック販売しており、主にブライダル分野で販売してきた。これまでも「プルミエール・ヴィジョン」への出展を通して「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」や「トモコイズミ」などに高品質なオーガンジーを供給してきたが、ハイエンドアイテムを「ヴィーナスオーガンザ」としてブランディングすることで、欧州のメゾンブランドへさらに拡販する狙いがある。現在は欧州向けにオーガンジーを年間約10億円販売しているが、3年内に倍増の20億円にまで引き上げる。
極細のモノフィラメントを使った超極薄のオーガンジーでは、小松マテーレ傘下に入った旧天池合繊の「天女の羽衣」シリーズが先行している。
対してサンコロナ小田の「ヴィーナスオーガンザ」は、石川県の有力メッシュ織物企業と組むことで、安定生産と品質を実現し、ストック販売できる体制を整えている点に強みがある。
また、「ヴィーナスオーガンザ」シリーズの一つである「モルフォテックス」は、帝人が2003年に開発した、ナノテクノロジー技術を使い、モルフォ蝶の羽根の構造を模して一本の糸の中にポリエステルとナイロンのポリマーを61層に重ねることで超複雑な発色・光反射を実現した伝説的な繊維素材で、すでに生産を停止している。サンコロナ小田は糸の全在庫を買い取り、「ヴィーナスオーガンザ」に使用している。現在はさらに細いモノフィラメントオーガンジーの開発にも着手している。
「ヴィーナスオーガンザ」は本日7日まで東京国際フォーラムで開催中の「JFWプレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)」で披露している。