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マッシュの通期営業利益が100億円突破 24年8月期は「ジェラピケ」けん引「バブアー」飛躍

マッシュホールディングス(HD)が束ねるマッシュグループの2024年8月期連結売上高は、前期比6%増の1202億円だった。営業利益については上場準備の観点から実数は非公開としたが、同社としては初めて100億円を突破した。

景況感が悪化する中国事業などが足を引っ張り、期初目標に掲げた売上高1230億円には届かなかった。国内事業が前期比6%増の1087億円で、内訳はファッションが同8%増の866億円、ビューティが同2%増の176億円。海外事業は同5%増の115億円だった。

コラボだけで売り上げ60億円超

ファッションブランドでけん引したのは「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」。売上高は前期比9%増の331億円だった 。大きな話題を呼んだ「ポケモンスリープ」コラボなど大型企画がヒットし、コラボ商品だけで60億円以上の売り上げを作った。同12%増と伸長したメンズライン“ジェラート ピケ オム”も伸び代になった。海外でも同15%増と伸ばした。

スナイデル(SNIDEL)」は横ばいで昨年に続き200億超。国内は前年並みも、中国事業が不振だった。 派生ブランドの「スナイデル ホーム」は同35%増と健闘した。「リリー ブラウン(LILY BROWN)」は同5%増、「ミラ オーウェン(MILA OWEN)」は同1%減。中〜小規模ブランドの中では「エミ(EMMI)」が好調だった。仕入れを除くオリジナル商品の売上高が同20%増とよく売れ、スニーカー業態の「スニーカーズ バイ エミ」との合算で53億円まで成長した。

西武池袋本店からの撤退は傷深し

「フレイアイディー(FRAY I.D)」(同2%減)「セルフォード(CELFORD)」(4%減)など、西武池袋本店の改装に伴う撤退が大きく影を落としたブランドもある。同店の改装前、地下1階にはマッシュがトータルプロデュースする区画「セイブ ビーワン(SEIBU BEONE)」があった。マッシュはこのゾーンを含めて西武池袋本店に11ブランドを出店しており、合計売上高は約14億に達していたが、すべて 撤退を余儀なくされた。「トップクラスの優良店舗も多くあっただけに、すぐに補填できるレベルのダメージではない」と近藤広幸マッシュHD社長。

ビューティ事業は“中身”の良化に手応え

ビューティ領域では、「スナイデル ビューティ(SNIDEL BEAUTY)」が同57%増と絶好調だったが、主力業態の「コスメキッチン(COSME KITCHEN)」は同1%増、「ビープル(BIOPLE)」が2%増と足踏みが続く。昨年4月にビューティ事業会社マッシュビューティラボのトップに就いた豊山YAMU陽子社長の下、原価構造の見直しなどの改革が進んでおり、「中身は確実によくなっている。お客さまを楽しませるさまざまなアイデアを形にできるかが今期の勝負どころ」と近藤社長は前を向く。両ブランドとも、足下の7〜9月については前年の2ケタ増ペースで推移している。「コスメキッチン」はEC催事「ザ オーガニック デイズ(THE ORGANIC DAYS) 」が集客につながり、「ビープル」はインナーケア強化が響いている。「トーン(TO/ONE)」「セルヴォーク(CELVOKE)」も業績が上向きつつあるという。

新規3領域の拡大を成長ドライブに

成長領域に据える「メンズ」「キッズ&ベビー」「ライセンス」の3事業は、売上高合計が前期比36%増の155億円となり、強化方針を打ち出した22年8月期末の時点(76億円)から約2倍の規模に成長した。中でも「バブアー(BARBOUR)」はアウター以外のMD拡充やコーディネート提案により女性客の取り込みが進み、同72%増の42億円と飛躍した。「現在は女性比率が3割まで高まってきたが、さらに伸ばせる余地がある」(近藤社長)と手応えをつかむ。昨年11月に池袋サンシャインシティにオープンした「セサミストリートマーケット」1号店の売上高は5億円とすべり出しは順調で、今期の新規出店もすでに決まっている。

グループ連結での25年8月期売上高は1300億円を計画する。期中の大きなトピックスは基幹ブランド「スナイデル」の20周年。直近でもニュージーランド発のキッズ&ベビー服「ジェイミーケイ(JAMIE KAY)」 (10月〜)、サロン向けヘアケアの「インナーセンス(INNERSENSE)」(11月〜)、を始動し、米国発バッグブランド「レスポートサック(LESPORTSAC)」の国内販売会社の全株式を伊藤忠商事と共同取得(10月)するなど、積極的な新規事業開拓で攻勢をかける。

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