アーバンリサーチは、京都・寺町京極商店街沿いの路面店を大規模リニューアルし、11月8日に再オープンした。寺町京極商店街は、京都中心地の三条と四条を結ぶ商店街で飲食やファッション、雑貨店などが連なり観光客でにぎわう通り。アーバンリサーチは同店を“グローバルフラッグシップストア“と位置づけ、インバウンドを含めた新規客の開拓を狙う。内装および取り扱いブランドも総入れ替えし、各店舗から店長クラスの先鋭スタッフを集めた。3フロアで構成し、面積776平方メートル。リニューアル以前は売り場だった地下1階はオフィスとして運営する。
京都の名物店目指す
昨年就任した竹村圭祐社長は、社をあげて「アーバンリサーチらしい付加価値の提供」を再考している。その一つの解となるのが同店だ。竹村社長は、「地元の人にとどまらず、国内外のお客さまに響く京都の名物店になることを目指す」と意気込む。
ディレクションは、「アーバンリサーチ」の取り扱いブランドの中でも人気の「シーシー(SEE SEE)」ディレクターの湯本弘通が担当。「ニュー・ベーシック」を新たなストアコンセプトに掲げ、ファッションの新たなスタンダードとなるブランドを集積した。
内装は長田篤が率いるMILESTONEが手掛けた。店内は無機質なコンクリートをベースに、盆栽アーティストの小島鉄平による作品をファサードに配置したり、石積みで外壁を囲ったりと日本の伝統を感じる要素を取り入れ、現代建築と融合させている。
メインフロア中央には、同店オープンに合わせてデビューする新たなオリジナルブランド「デー(DDDDDDD)」が並ぶ。同ブランドは、「シーシー」の湯本がクリエイティブ・ディレクターを務め、無地のスエットやTシャツなど普遍的な日常着をテーマに企画する。サイズレンジは通常の3サイズから5サイズに広げ、インバウンドにも対応する。同フロアでは「デー」のほか、「アーバンリサーチ」レーベルのバイヤーが厳選したウィメンズとメンズのセレクト商品なども並べる。
2階は6つのブースに分け、ポップアップ形式で自社ブランドを含めた異なるブランドが出店する。オープン時は、クリエイティブファームのロウワーケース(LOWERCASE)を率いる梶原由景によるオリジナルブランド「ホテル:ロウワーケース・ザ・ショップ (HOTEL:LOWERCASE THE SHOP)」や、ラグジュアリーのビンテージ品などを扱うセレクトショップ「ザ ボックス(THE BOX)」、ストリートブランドの「ブランクマグ(BLANKMAG)」「シーシー」、「アーバンリサーチ バイヤーズ セレクト(URBAN RESEARCH BUYERS SELECT)」、アーバンリサーチの日本の地域に根付く工芸に特化した「ジャパン メード プロジェクト」などが並ぶ。同フロアにはカフェスペースも併設し、京都の飲食店が順次出店予定だ。また階段の踊り場は、イベントスペースとして活用する。
竹村社長は、「コロナを機にアーバンリサーチらしい付加価値を考え直した。2009年に旗艦店としてオープンした同店も、本当に付加価値を提供できているのか、100%生かしきれていないのではないかという反省があった。そこであらためて安心感や物量に頼らずに、社員が本当に面白いと思うブランドを並べた」と話す。
竹村社長は昨年、縦割りだった組織を改変し、社内での活発な交流やノウハウ共有を推進している。以前は販売スペースだった地下1階をオフィスとしたのは、さまざまな部署の社員が集まるスペースを設けることで、同社の第二のハブとして機能させる狙いだという。