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連載 小島健輔リポート

日常と非日常に二極化する商業施設 行き場を失うアパレル【小島健輔リポート】

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ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。商業施設の二極化が加速している。東京の都心には日本で従来あまりなかった高級ショッピングモールが相次いで計画される中、地方や郊外では低価格の専門店をそろえた近隣型モールが増加する。二極化の狭間で、ドメスティックなアパレルブランドの多くは行き場を失っている。

都心部では新設やリニューアルの商業施設が非日常を志向してインフレする一方、郊外では生活圏の日常を志向してデフレするケースに二極化しているが、その狭間で立ち位置が定まらないのがアパレル店舗ではないか。どちらを志向しても脇役を出ず、営業的にも苦しいケースが多い。

いったい誰の生活を想定しているの?

麻布台ヒルズや虎ノ門ヒルズでは法外な家賃や高額な飲食店に腰が引けた方も多かったと思うが、いったい誰のどんな生活を想定しているのかといぶかるしかない。金銭感覚の違う外国人観光客やケタ違いの富裕層を想定しているのだろうが、いかに港区とはいえ超がつく高額所得者や富裕層ばかりではないから、非日常の来訪者だけでは小売店舗は通年の採算は難しいのではと余計な心配をしてしまう。

有り体に言えばオフイスを核にホテルやコンドミニアムをサブ核とした複合施設だから、飲食店や物販店はそれらを利用する人々を対象とするはずで、ホテルの顧客は非日常のインバウンド需要としても、最大の顧客たるオフイス勤務者は日々の日常需要になるから「インバウンド価格」が受け入れられるとは思えない。新橋や有楽町、東京駅周辺のオフイス街の金銭感覚は、おしゃれな「丸の内」界隈を除けば庶民感覚からそんなに大きく乖離するものではないから、麻布台ヒルズや虎ノ門ヒルズだけが「外人租界」「富裕層租界」というわけにはいかないはずで、小売店や飲食店の採算は厳しいと推察される。

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