新トレンドワード“オフィス サイレン(Office Siren)”に注目です。きちんと感やまじめさが鉄板だったオフィスコーディネートに、茶目っ気やセクシーさなど、これまでは遠ざけられてきたムードを盛り込むのが、このスタイリングの持ち味。今回は、オフィススタイルも得意なニューヨークブランドの2024-25年秋冬コレクションから、アイデアソースに使えそうな提案をピックアップしました。
着こなしのポイントは、従来の定番お仕事ルックの常識を揺さぶること。例えば、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」が2024年オートクチュール・コレクションで披露したのは、タイドアップとジレの組み合わせ。こうした“脱・平凡”のアレンジが勢いづく背景には、出社する機会が増えたことも一因でしょう。“癖あり”コーディネートでオフィスルックのルールを書き換えようという、反骨のおしゃれマインドがうかがえます。
トレンチコートをゆるくローブ使い
「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」は、通勤ルックの常連であるトレンチコートをローブのようにゆるく羽織り、余裕でタフな印象を醸し出しました。トップスのカラーシャツは裾を片方ウエストアウトさせ、こなれ感を演出。ハーフパンツもオフィスコードぎりぎりな雰囲気に抑え込んでいます。マニッシュなアイウエアを合わせ、洗練したムードです。
チェスターコートをドレスライクに
逆に「トリー バーチ(TORY BURCH)」はチェスターコートの前をきっちりと閉じ、トップスもボトムスものぞかせない、ドレスライクな着こなしに仕上げました。仕立ての良いコートが、フォーマルな雰囲気をさらに引き立てています。レースタイツがレッグラインをエレガントに見せ、アイウエアで目元を隠し、全体をクールに引き締めました。
ジャケット×キュロットの新スーチング
ボトムスの選択肢が増えてきました。従来はスカートかパンツの二者択一でしたが、“オフィス サイレン”ではハーフパンツやキュロット、ミニスカートも仲間入り。ジャケットとキュロットのスーチングも、カラーを統一すれば、落ち着いて見えます。「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」は、シャツやトングブーツも黒でシックにまとめて、スタイリッシュなムード。パソコンもしっかり入りそうなバッグで、お仕事マインドを宿しました。
素肌見せパンツスーツスタイル
「プロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)」は、正統派のスーツルックに、トップスで変化をもたらしました。オフィスシーンではまだハードルが高そうな、ウエスト見せスタイルです。モノトーンでまとめたパンツスーツに、ウエストをほんのり肌見せ。ジャケットの前を閉めれば、肌を隠せる仕掛けです。ゆったりとしたオフネックのコンパクトなトップスは、エアコン対策のキーピースです。
小物ミックスでスーツアレンジ
従来のスーツスタイルに、小物使いでひねりを加える着こなしも見られました。近ごろは、アレンジに役立つアイテムの種類が増えています。「3.1 フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」は、カッチリした印象のパンツスーツに大ぶりのネックレスで艶やかさをプラス。さらに、アイウエアとグローブで知的さとタフさも添えました。オフィスと会食のように、シーンをまたぐ日に試したい着こなしです。
正統派スーツにトラッド風味をプラス
ロングトレンドのプレッピー系のトラッド。シャツやベスト、ローファーなどでトラッド感を盛り込むと、見慣れたスーツ姿が様変わりします。白シャツとVネックニットの重ね着で、細身のパンツスーツにトラッド風味を注ぎ込んだのは、「セオリー(THEORY)」。足元は素足にローファーを合わせて、抜け感を演出します。ベージュは、かしこまりすぎないラフな雰囲気を出したい時に好チョイスなカラーです。
自分好みのお仕事ルックは気分が上がり、業務効率もアップしそう。手持ちのワードローブに“オフの日アイテム”を差し込むだけでムードが変わるので、重ね着が楽しめる今の時期は、“オフィス サイレン”の着こなしにトライしてみるのもいいかもしれません。