大手メディアが事業や取り扱う分野を広げる一方で、特定のジャンルに焦点を当て、深く掘り下げたコンテンツを作り続ける新興メディアもある。紙面、ウェブ、動画と発信スタイルはさまざまだが、「コレについて発信したい」という作り手の偏愛は、メディアに自然と個性を宿す。これからの飛躍が楽しみな5媒体を紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年11月25日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
THIRTY 3 MAGAZINE
サーティスリーマガジン
丸ごとVERDYの濃密な一冊
“ストリート”を次世代に継承する
VERDY/「サーティスリーマガジン」編集長
アーティストのVERDYが、構想3年の末にストリートカルチャー誌「サーティスリーマガジン(THIRTY 3 MAGAZINE)」を7月に発行した。創刊号は180ページを超えるボリュームで、プロスケーターの堀米雄斗や格闘家の那須川天心、歌手のAwichらをはじめ、日本のカルチャーシーンを代表する面々のインタビューやコラムを掲載する。発売以降、完売する書店もあるほど話題を集めた。VERDYは、インスタグラム(Instagram)でフォロワー数80万以上を抱えるなど、個人での発信力や影響力も十分ある。それでも紙の雑誌にこだわったのは、「今のストリートを残し、次の時代につないでいきたい」から。“ストリート”という言葉がトレンドのように消費されることもあるからこそ、「自分たちが信じるストリートを、自分たちのやり方で伝えたかった」とVERDY編集長は語る。
同氏のラッキーナンバーである33を雑誌名に採用したように、「サーティスリーマガジン」はVERDYそのものであり、その好奇心や交友関係の広さが雑誌の“ナンバーワン”の強みにつながっている。誌面に登場するアーティストも、制作スタッフも、広告ページのクライアントも、全てVERDYと親交がある人物やメーカーばかり。とはいえ、「デザイン面での自分らしさはあえて出さないようにしている」という。あくまで編集長として企画立案や人選などの仕事に徹し、自身が影響を受けた1990年代の雑誌のような熱量あるメディアを目指した。そのこだわりを最も象徴しているのが、大勢が登場する表紙だ。「ずっとこういうページに憧れていた。被写体は有名無名関係なく、10年後に見たときに『この人がここに写ってるんだ』となる撮影をずっとやりたかった。仕事も拠点もみんなバラバラだから、人によっては直接電話して何とか集まってもらった」。
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