毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年11月25日号からの抜粋です)
利川:毎年恒例のメディア特集は、ナンバーワンがテーマです。不況といわれる中で、支持を得るメディアは、どんな編集者により、どんなナンバーワンな独自性が作られているのかを探りました。
大塚:個人も自由に情報発信できる現代において、読者やクライアントから信頼されるメディアが磨いてきたナンバーワンは何か。取材を通じて何が印象に残りましたか?
利川:児島幹規さん(「装苑」)、塚本香さん(「ハーパーズ バザー(HARPER'S BAZZAR)」)、向千鶴さん(「WWDJAPAN」)の元編集長鼎談が面白かったです。児島さんが「今の編集者はウェブも紙もあってやることが多いけど、ブレないものがあるメディアの方が強い」と語っていて、「媒体の“王道”を貫く」という言葉が、心に刺さりました。大塚さんはいかがでしたか?
大塚:「ナンバーワンに大事なものは何ですか?」と聞くと、複数の取材で「人です」と返ってきたことです。編集者だけでなく、関わっている人も含めて、原点は「人」。「誰が作ったか」が大事だというところは、何も変わっていないし、やっぱりそうなんだなと思いました。
偏愛的な部分の価値が出てくる時代
利川:そういう意味では、ナンバーワンを目指す新興メディアとして取材した、「芸人雑誌」の福田駿編集長は、まさに「人」がコンテンツを作る、の典型でしたね。毎号、紙質もサイズも変わるし、タイミングもバラバラですごく自由。オススメのコントユーチューブのQRコードを40個くらい並べたページ作りは衝撃でした。
大塚:「強みは何だと思いますか?」と聞いたら、「当て勘」という返答でしたね。まだ売れていない芸人を見て、「この人は売れるんじゃないか」と分かる直感みたいなものが優れているのではないかということでしたが、どの分野でも同じですよね。それだけ好きだから、当てられるわけで。何に興味を持ち続けてきたかの個人の原点、偏愛的な部分の価値が出てくる時代だなと思いました。
利川:読者との結びつきも大事ですよね。読者が求めているものにどう応えるかに、こだわりを持って真摯に向き合うというのも、生き残るメディアの条件だと思いました。編集部員によるインスタライブや編集部員がもてなす飲み会の開催など、近年編集者と読者の距離もより近くなってきていると感じます。編集者の個性や偏愛を磨くことが、そのメディアの強さにつながっていくのですね。私もがんばります!