ユニチカは、祖業の繊維事業から撤退する。リストラなどのため、主力の三菱UFJ銀行などに430億円の債権放棄をもとめるほか、官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)から第三者割当増資と融資で350億円を調達する。増資後、REVICが議決権で66.76%を所有する筆頭株主になるが、上場は維持する考え。
不振の繊維事業から撤退し、高収益のフィルム事業に経営資源を集中させ、直近の2024年3月期の売上高は1183億円、営業損失は24億円、純損失は54億円を、28年3月期に黒字化、30年3月期に売上高700億円、営業利益65億円を目指す。
ユニチカは、1960年代に「東洋の魔女」と言われた女子バレー部を擁し、ポリエステル・綿の複合繊維「パルパー」、シルキー調ポリエステル「シルミー5」、世界最高クラスの細番手コットン「舞鳳凰」、先駆けて事業化に成功したPLA繊維「テラマック」などを生み出し、かつては日本を代表する紡績メーカーの一つだった。
大手素材メーカーでは三菱ケミカル(旧三菱レイヨン)が、トリアセテート繊維「ソアロン」を売却し、同じく祖業の繊維事業から撤退するなど、名門企業の繊維事業の撤退が相次いでいる。