英投資会社ペルミラ(PERMIRA)が擁するシューズブランドのドクターマーチン(DR.MARTENS)は、次期最高経営責任者(CEO)として4月に任命したイジェ・ンワーコリー(Ije Nwokorie)最高ブランド責任者が、1月6日付で就任することを発表した。現職のケニー・ウィルソン(Kenny Wilson)CEOは同日付で退任し、取締役会からも離れるが、引き継ぎ期間は3月31日まで設けられている。
ウィルソンCEOは、18年7月に就任。それ以前は、米アクセサリーブランドのクレアーズ(CLAIRE’S)、キャス キッドソン(CATH KIDSTON)、リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS)などで要職を務めた。同氏は、「就任から6年が経ち、次へとバトンを渡すべき時期が来たと感じていた。ブランドの幅広い知識と情熱を持つイジェが後任でうれしく思う」と語った。
ドクターマーチンは、1960年に英ノーサンプトンシャーで創業。シンプルなシルエットと高い耐久性を持つワークブーツとして人気を博し、ロックバンド、ザ・フー(The Who)のピート・タウンゼント(Pete Townshend)らが愛用したことからカルチャー分野でもアイコン的な存在に。2014年、ペルミラが3億ポンド(約573億円)で買収。21年2月にロンドン証券取引所に上場した。
24年上半期は全地域が減収で赤字転落
ドクターマーチンの24年4〜9月期(上半期)決算は、売上高が前年同期比18.0%減の3億2460万ポンド(約619億円)、調整後EBIT(利払前・税引前損益)は前年同期の3970万ポンド(約75億円)の黒字から430万ポンド(約8億円)の赤字に、PBT(税引前純損益)は同じく2580万ポンド(約49億円)の黒字から2870万ポンド(約54億円)の赤字に転落した。なお、これには主に経費削減策の費用として計上した特別損失の920万ポンド(約17億円)が含まれている。
地域別の売上高では、EMEA(欧州・中東・アフリカ)が同16%減、アジア太平洋地域は同12%減だった。南北アメリカは、同社にとって最大の市場である米国でサプライチェーンや物流センターでの混乱が続いたことが響き、同22%減に。販売チャネル別では、小売(ECを含む)が同7%減、卸は同29%減だった。
ウィルソンCEOは、「24年は過渡期であり、上半期の結果は想定内。プロダクトを中心としたマーケティングへの転換、米国市場における小売りの強化、営業費用の削減、財務の改善という4つの主要目標の達成に向けて順調に進んでいる。下半期には、米国の小売りが成長軌道に戻る見込みだ」と語った。