LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が擁するクリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)は、自社内での長期的な生産力の強化やノウハウの継承を主な目的とするインダストリアル部門を新設した。
これに伴い、新部門を率いるチーフ・インダストリアル・オフィサー(CIO)として、世界最大のアイウエア企業、伊エシロールルックスオティカ(ESSILORLUXOTTICA)で最高執行責任者を務めていたジョルジオ・ストリアーノ(Giorgio Striano)を任命。同氏は1月2日付で就任する。
また、パトリス・ギルマン(Patrice Guillemin)=レザーグッズ・シューズ・ファッションジュエリー担当インダストリアル・ディレクターは、インダストリアル・プロジェクト・ディレクターに就任。このため、後任としてやはりLVMHが擁するルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)のインダストリアル部門で20年以上の経験を持つニコラ・カレ(Nicolas Carre)=レザーグッズおよびアクセサリー担当インダストリアル・ディレクターを任命した。いずれも、ストリアーノ新CIOの直属となる。
サプライヤーで起きた問題の対応策という側面も
今年6月、クリスチャン ディオール クチュールのイタリアの子会社で、「ディオール(DIOR)」のバッグなどの生産を行うマニュファクチャラーズ ディオール(MANUFACTURERS DIOR)のサプライヤーである中国系の下請け企業が、イタリアの生産工場で不法滞在の移民などを最低賃金以下で雇用し、「倫理的に認められない衛生状況下」で過負荷状態の機械を稼働させていたことなどが明らかに。当該の工場は人権侵害により1年間、行政の指導下に置かれることとなった。これを受け、クリスチャン ディオール クチュールは再発防止策として監査をより頻繁かつ厳密に行い、生産工程の垂直統合を急ぐとしていた。
クリスチャン ディオール クチュール会長兼CEOのコメント
デルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=クリスチャン ディオール クチュール会長兼最高経営責任者(CEO)は、「倫理に関する規制を順守しつつ、『ディオール』のクリエイティビティー、クラフツマンシップ、比類のないサヴォアフェール(受け継がれる職人技や美意識)を維持および促進し、製造の各段階におけるさまざまな生産工程を持続的にサポートすることは非常に重要だ」と語った。