ファッション

パリ発の「ノダレト」、プロダクト主義でラグジュアリーシューズに挑戦

PROFILE: ジュリア・トレダノ/「ノダレト」創業者

ジュリア・トレダノ/「ノダレト」創業者
PROFILE: フランスの大学で法律とジャーナリズムを専攻した後、ロンドンでシューズデザインを学ぶ。2019年に起業し、ノダレト」を始動。父はLVMHファッショングループの会長兼CEOシドニー・トレダノ PHOTO:SHUHEI SHINE

パリ発のシューズブランド「ノダレト(NODALETO)」は、ポップさとノスタルジックさをあわせ持つデザインと、1日履いても疲れない履き心地を計算しつくした構造が特徴だ。同ブランドを立ち上げたのは、LVMHファッショングループ会長兼CEOシドニー・トレダノ(Sidney Toledano)の娘、ジュリア・トレダノ(Julia Toledano)だ。ジュリアは19年に自身の苗字をもじった「ノダレト」をスタート。BLACKPINKのジェニー(Jennie)はじめ、セレブリティーからの支持率の高さを追い風に、世界各国でビジネスを広げている。公式ECサイトを主販路に、日本では「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」「エストネーション(ESTNATION)」「グレイト(GR8)」「ヌビアン(NUBIAN)」など、有力セレクトでの取り扱いも広がる。

ラグジュアリーファッションの世界で生まれ育ち、確かな審美眼を持つジュリアが「現代を生きる女性たちのために、快適さとスタイルを妥協しないシューズを作りたい」との思いで生み出す製品は説得力が高い。このほど来日したジュリアにシューズ愛に目覚めたきっかけから父から教わった経営論までを聞いた。

WWD:「ノダレト」について教えてほしい。

ジュリア・トレダノ(以下、トレダノ):私が5年ほど前に立ち上げた「ノダレト」は、モダンかつタイムレスな美学と遊び心を持ったラグジュアリーシューズブランド。デザインは、建築的なコード、1970年代のノスタルジックさや90年代のミニマリズム、ポップカルチャー、そして私たちの世代のモダニティを織り交ぜている。どこかやんちゃさを感じるアティチュードもブランドのDNAとして大切にしている。

WWD:幼少期、ファッションやシューズをどのように楽しんだ?

トレダノ:好むと好まざるとにかかわらず、生まれた時からファッションの世界は身近な存在だったわけだけど、私は兄弟の中でも一番ファッションが好きだった。特にプロダクト(製品)に惹かれるタイプだったの。“モノを見ろ”というのが、昔から父の教えだった。幼い頃からたくさんのファッションショーも見せてもらったけど、特に楽しかったのは工場見学。モノが作られる工程を見たり、知ったりすることを楽しんでいた。

シューズに囲まれて過ごした幼少期

WWD:シューズブランドを始めた理由は?

トレダノ:いろんなプロダクトの中で、特に惹かれるのがシューズだった。なんでシューズが好きなのかは、説明ができないわ。まるで誰かに恋した時みたいな、感覚的なものなの。私のミューズの叔母さんが熱心なシューズ収集家だった影響も大きい。よく小さい頃にお母さんの化粧道具でメイクをして遊んだ人もいるでしょう。私の場合は、叔母さんのシューズがそれだったの。パーティーに出かける時、彼氏と別れた時、人生の良くも悪くも特別な瞬間には必ず新しいシューズを買うのが習慣だったくらい。

WWD:人生で最初に履いたラグジュアリーシューズは?

トレダノ:「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」。15歳の頃で、テストで良い成績を取ったご褒美に母親がプレゼントしてくれたの。もうあんなに高いヒールは履けないけど、今も私のコレクションの一部。将来は娘に譲りたいと思っている。

WWD:お気に入りのシューズブランドは?

トレダノ:「マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)」。私が初めて自分のお金で買ったラグジュアリーブランドも「マノロ ブラニク」だった。人々との心を刺激するデザイン、創業時から変わらないシューズへの愛というブランドの歩んできたストーリー自体に惹かれる。映画「セックス・アンド・ザ・シティ」で登場する「マノロ ブラニク」は、シューズの枠を超えたアート作品だと思う。

父から教わったのは「一にも二にもプロダクト」

WWD:父シドニー氏から教わった、今日ラグジュアリービジネスに必要不可欠なものは?

トレダノ:父がいつも言っているのは、「一にも二にもプロダクト」。工場に行って、モノが生み出される拠点を見ること、作り手と直接会話することが何よりも大切だと教わった。私がシューズブランドを始めたいと言った時には、「ファッション産業で最も難しい製品だぞ」と言われたわ。時には100以上の部品から作られるシューズのクラフツマンシップはごまかせないから。学生を卒業した24歳の頃、これから何をしようかと悩んだ時に、まずイタリアのシューズ工場を巡ったの。そこで見聞きした知見が今の「ノダレト」のベースになっている。完璧な製品ができたら次にどう売るか考え、その後お客さまとどうコミュニケーションを取るか。もちろん全てのステップが平等に大事だけど、組み立てていく順番はこういうふうに教わった。

WWD:これからのビジョンを教えてほしい。

トレダノ:女性による女性のためのシューズを作ること。「ノダレト」の商品を買う行為は、私のストーリーにお金を払ってもらうことでもあると思うの。ブランドを始める時、女性のシューズデザイナーがあまりにも少ないことにあらためて気が付いた。セクシーで華やかなシューズはたくさんあるけど、私が届けたいのは働く女性や母親、あらゆる女性たちが快適だと思ってくれるシューズ。「ノダレト」は、コミュニティーを感じられるブランドに育てていきたいし、そこで女性起業家としての私のストーリーも伝えていけたらいい。次に日本に来た時は、もっとブランドの世界観を感じてもらえるポップアップストアにも挑戦したい。

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