LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)を率いるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)は12月2日、フランス学士院(Institut de France)を構成するアカデミーの一つ、フランス人文院(Academy of Moral and Political Sciences)の正会員に選出された。
フランス学士院は、芸術、科学、人文学などの発展のため1795年に設立された国立の学術団体。その前身となる王立アカデミーは、1635年に設立されたアカデミー・フランセーズ(Academie Francaise)などから構成されていたが、フランス革命中の1793年に解体された。フランス学士院と同じく95年に設立されたフランス人文院は、革命後の1803年に一度解体されたものの、32年に復活。現在、フランス学士院はフランス人文院に加えて、アカデミー・フランセーズ、フランス文学院(Academie des Inscriptions et Belles-lettres)、フランス科学院(Academie des Sciences)、フランス芸術院(Academie des Beaux-arts)の5つのアカデミーを擁している。
フランス人文院のほかのメンバーは?
これらのアカデミーのメンバーに選出されるのは非常に名誉なこととされている。社会科学と人間科学を対象とするフランス人文院には、ノーベル経済学賞を受賞したエコノミストのジャン・ティロール(Jean Tirole)、米コロンビア大学(Colimbia University)の教授を務める経済学者のピエール・アンドレ・キアッポリ(Pierre-Andre Chiappori)、エルヴェ・ゲマール(Herve Gaymard)元フランス経済・財政・産業大臣、ジャン・クロード・トリシェ(Jean-Claude Trichet)元欧州中央銀行総裁らが所属している。
各アカデミーは、メンバーの引退や死去などにより空席が生じた場合にのみ新たなメンバーを選ぶ方式を取っている。アルノー会長兼CEOは、2023年6月に死去したフランスの実業家、デニス・ケスラー(Denis Kessler)=スコール(SCOR SE)前会長兼CEOの席に座ることとなり、フランス人文院の政治経済・統計・財務部門のチェアマンを務めるという。なお、スコールはパリに本社を置く、再保険を中心とする多国籍の金融サービスグループ。
フランス人文院の目的とは?
フランス人文院によれば、同アカデミーの目的は「書籍やリポートの出版、会議の組織運営などを通じて幅広く深い知識を伝達し、フランスの知的遺産の保護と継承を確かにすることや、官民の意思決定者や政策立案者に厳密かつ独立性の高い情報や分析を提供すること」だという。また、「当アカデミーは慎重に選ばれた知的エリートが所属するものであり、メンバーはその専門分野における貢献度や個人の業績によって選出される」としている。