ファッション

「セルフ-ポートレート」がクリストファー・ケインをコラボ 「クリエーター同士が支え合い、高め合う」新プログラムの第1弾

ロンドン拠点のファッションブランド「セルフ-ポートレート(SELF-PORTRAIT)」は、ゲストデザイナーを迎える新たなレジデンシー・プログラムをスタートした。このほど、その第1弾として、英国人デザイナーのクリストファー・ケイン(Christopher Kane)が手掛けたコレクションを発売した。同コレクションは、ケインが2006年にロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校修士課程の卒業ショーで披露したデザインと、それを発展させた07年春夏をベースにしたもの。パステルカラーと白黒をベースに、チェーンメイルやレース、フリル、ラインストーンが特徴のドレスやニットからバッグやアクセサリーまで、パーティーシーズンにぴったりのアイテムがそろう。

ケインがファッションの表舞台に復帰

今回のコラボレーションは、ハン・チョン(Han Chong)「セルフ-ポートレート」創業者が共通の友人を介してケインに連絡を取ったことをきっかけにスタートしたが、ケインのファッションデザインへの復帰を記念するものでもある。というのも、2023年6月、彼が姉のタミー(Tammy Kane)と共にブランドを運営していた会社は経営破綻。その後、2人は会社を買い戻したものの、それ以来コレクションの発表や販売は行っていないからだ。

ロンドン中心部のバービカンに本社兼スタジオのハレラ・ハウスを構える「セルフ-ポートレート」は、そんなケインにコレクション制作のためのインフラやリソース、チーム、流通網を提供するとともに創造の自由を与えた。そしてブランドが密に提携する中国の生産背景を生かすことで、一番高いドレスでも650ポンド(約12万3500円)という価格を実現。「セルフ-ポートレート」のロンドンにある2つの直営店に加え、世界の小売店40店で販売している。

お互いの敬愛から生まれたコレクション

ケインは、今回の取り組みを敏捷性やサプライチェーン管理、ファッションの民主化についての学びだったと振り返る。そして、「こんなチャンスは滅多にない。過去に手掛けたコラボレーションと比べても全く異なる。私たちにはシナジーがあり、お互いを敬愛しているし、ファッションが前面に出ている。その結果、とてもウエアラブルかつ素晴らしいファッションを魅力的な価格帯で提供できるコレクションになった」と述べた。

一方、チョンは中国の珠江デルタ地域の工場でのスタッフ・トレーニングにこれまで10年間を費やしてきたとし、「これらの工場が品質とコストパフォーマンスにおける私の期待を理解することが重要だ」と説明。「私はデザインしている時、どの工場が何をやっているのか、どうすれば私の顧客にとってより身近なものにできるかを正確に把握している。例えば、このコレクションに上質なチェーンメイルを使いたければ、他の素材は全体のコストを下げるために安価なものにする。だから、以前はクリストファーのコレクションに手が届かなかったファンも、今回は買うことができるだろう」と付け加えた。

クリエイティビティー繁栄のための場を提供

さらに、レジデンシー・プログラムを「クリエーター同士がお互いをライバル視するのではなく、支え合い、高め合う、真のパートナーシップの未来を象徴するもの」と考える彼は、ブランドのリソースを生かして「クリエイティビティーが繁栄するためのホーム」を提供することが自身の責任だと考えているという。今後もハレラ・ハウスの門戸をあらゆる分野のクリエーターに開く計画で、「(レジデンシー・プログラムは)私の顧客と世界との関わり方を反映したものにしたいので、そのチャンスは幅広くエキサイティングだ。私は、ライフスタイルのさまざまな側面を探求するというアイデアが大好き。体験や一つの製品、音楽、本、あるいは複数のクリエイターが予想外の方法で携わることもあり得る」と語った。

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