高島屋の元常務取締役の石原一子(いしはら・いちこ)さんが虚血性心不全のため12月1日に死去した。100歳だった。石原さんは1979年に日本で初めて上場企業の女性役員に就任した(同族経営は除く)。当時は女性活躍の先進事例として大きな話題となり、小説「女重役」(清水一行著)のモデルにもなった。
石原さんは1924年、中国・大連生まれ。東京女子大学卒業後に、一橋大学に初の女子学生として入学した。卒業後は高島屋に就職。2人の子供を育てながら仕事を続け、婦人服やベビー用品などの担当を経て、75年東京店(現日本橋店)の次長(現副店長)に就いた。79年には取締役本社広報室長に抜擢され、上場企業初の女性役員になった。常務取締役などを経て87年に退社した。その手腕を買われて経済同友会にも初の女性会員として迎えられた。大蔵省、経済企画庁、建設省の諮問委員など公職も歴任した。