毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年12月9日号からの抜粋です)
小田島:日々取材をする中で、「VTuberとのコラボ商品がヒットした」という声を聞く機会が増えました。ポップアップイベントを訪れてみると非常に盛り上がっていて、今これだけ熱量があって勢いのあるカルチャーなんだということを伝えたいと思い、特集を企画しました。自分の娘たちも保育園児のころからキャラクターがゲーム実況する動画を見ています。娘たちの世代にとって、VTuberは芸能人やYouTuber、アニメキャラよりも身近な存在になりそうだと思いました。
沼:私はこの特集に参加するまでVTuberの知識はゼロでした。渋谷109の担当者が、「今はK - POPアイドルのポップアップと同じくらい引きがある」と話していたのに驚きました。ファッションやビューティの領域って、実際にそれを着て見せたり、化粧したりすることが重要ですが、VTuberにはそれができない。でも、彼・彼女らは画像を交えた配信のトークで魅力を十二分にファンに伝えることができ、それでモノが売れたりしています。
小田島:VTuberが商品を魅力的に伝えると、ファンは“推し”が推しているものを着てみたい!使ってみたい!という気持ちになります。彼・彼女らはほぼ毎日ライブ配信をしていて、ファンはリアルタイム視聴で時間を共にし、コメントを書き込んで反応を楽しんでいます。
見た目と中身のギャップが面白い
沼:私は初めて見たVTuberということもあって、アダストリアが運営するバーチャルファッションマーケットプレイス「スタイモアー」が衣装協力した“メタばあちゃん”のバーチャルファッションショーが面白かったです。80歳以上のおばあちゃんによるVTuber集団で、見た目はいまどきの女の子なのに、話すとおばあちゃんというギャップが面白く、企画中に寝始めたり、歌い出したりする自由奔放さが魅力的です。
小田島:3Dモデリングは時間と労力がかかるので、次々に新作!というわけにいかないけれど、それもあるせいか、VTuberの新衣装お披露目って、すごく盛り上がるんです。そこにブランドやデザイナーがかかわっていけたら面白そうだなと思いました。あと、本当にライブ配信がうまいので、フロントローに座るのは無理かもですが、コレクション実況コラボなども実現したら、面白いんじゃないかなと想像しました。