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中国の「爆買い」に異変、中古品が日本や世界に逆流

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ネット通販やライブコマース、スマホ決済、ゲームなど、次々と世界最先端のテクノロジーやサービスが生まれている中国。中国専門ジャーナリストの高口康太さんが、最新事情をファッション&ビューティと小売りの視点で分かりやすくお届けします。今回は、中国人の「高級ブランドリセール事情」。かつての爆買い大国に大きな異変が。爆買いで溜め込まれた高級ブランドの中古品が逆流して、日本や世界に流出しているようです。(この記事は「WWDJAPAN」2024年11月18日号の転載です)

「日本は宝の山だ」――数年前、日本の商品を中国に転売する在日中国人事業者から聞いた言葉だ。「代購」(代理購入事業者を指す中国語)にはすでに長い歴史がある。2000年前後には留学生などの副業として広がっていたが、その後スマートフォンやモバイル決済、メッセージアプリの普及や代購向けプラットフォームや中国向け物流事業者の発展、アベノミクスによる円安など、転売のハードルを下げる環境が整ったことで市場は拡大していく。その中でも近年、特に目覚ましい成長を遂げていたのがラグジュアリーのリユース品だ。日本のリユース品は鑑定がしっかりしているので海賊版が少なく、傷や損耗も明記されている。騙されることが少なく、憧れのブランド品がお手軽価格で手に入ることが魅力だ。2020年にはコロナ禍によって中国人が海外旅行できなくなったこともあって、ライブコマース(動画配信とネットショッピングを融合させた販売形態。個人でも開設できるスマホ版テレビショッピング)によるリユース品販売がさらに急成長した。リユース品は一点ずつ状態が違うが、動画で見れば消費者も状態をよく理解できる。紅布林、妃魚、胖虎など、数十ものチャンネルで同時に配信するという、個人配信者の寄せ集めのような形態で販売するリユース・ラグジュアリー販売企業に大手ベンチャーキャピタルが出資し、一躍、ホットな投資ジャンルとして注目を集めるようにもなった。

本土で冷める「高級ブランド熱」

現在、この熱気は完全に消え去ってしまった。9月23日、リユース・ラグジュアリー販売販売ベンチャーの紅布林は、家電やデジタル製品を中心とするリユース品販売大手の転転への事業売却を発表した。未上場企業として足元の業績は発表されていないが、近年の停滞は明らかだ。いったい、中国のリユース・ラグジュアリー市場に何が起きているのか。リユース・ラグジュアリー販売事業を行っている在日中国人の劉(仮名、40代、女性)は「2017年からこの仕事を始めた。私の会社が活用していたプラットフォームはアリババのタオバオとテンセントのウィーチャットだ。タオバオは一見の客に販売するための場、ウィーチャットは知人や友人などつながりがある人に販売する場として活用してきた。スモールビジネスだが、最大で月1000万円の利益をあげることができた。だが、2022年から突然、売れ行きが悪化してしまった。値下げしないと売れなくなり、利幅が大きく縮小した」。2020年時点では良品ならば新品の約半額が相場だったと言うが、現在では2割、3割も珍しくないという。

中国では2022年春に上海市の都市封鎖が行われるなど、新型コロナウイルスの流行により経済活動が停滞した。コロナ対策の解除、その後の全中国人の9割が1カ月で感染したとも言われる大流行を経て、2023年春から経済活動が正常化する。コロナ禍で消費できなかった分を取り戻す、リベンジ消費が期待されていたが不発に終わり、むしろ消費不況は悪化する一方だ。

劉が売れ行き不振を感じた2022年時点では、リユース市場だけの不振ではないか、バーバリーやグッチなど一部のブランドだけが失敗しているのではないか、と慎重な見方もあったが、現在では中国市場全体の悪化が鮮明化している。中国国家統計局の発表でも、宝飾品の販売額は今年4月からマイナス成長に落ち込んでいる。LVMHやケリングなどラグジュアリー大手の業績、株価も明らかに低迷している。海外旅行に代わる、ラグジュアリー購入チャネルとして期待されていた海南島離島免税も悲惨なまでの落ち込んでおり、2024年1~9月の販売額は前年比31.3%減の240億元(約5120億円)となった。中国南部の島、海南島を免税特区とし、第二の香港のような買い物天国にするのが中国政府の戦略だったが、強い逆風にさらされている。

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