乃村工藝社は、2022年から取り組むR&Dプロジェクトの一環として、“素材=地球資源”をテーマにした「マテリアルレコード(material record)」を立ち上げ、その第1弾プロダクトとして12月13日に、音響装置「ヌーン バイ マテリアルレコード(noon by material record)」(以下、「ヌーン」)を発表する。
同プロダクトは、地球を構成するさまざまなサステナブル素材に目を向けて、“音”と“素材”を結びつけた空間設計を得意とする乃村工藝社グループの創造性が詰まった体験型アートピースだ。
「MIDNIGHT PIZZA CLUB」
今回の「ヌーン」発表に際し、俳優の仲野太賀、映像ディレクターの上出遼平、写真家の阿部裕介の3人による旅サークル「MIDNIGHT PIZZA CLUB」とのコラボレーションを実施。12月12日に発売される、旅の記録をまとめた書籍「MIDNIGHT PIZZA CLUB 1st BLAZE LANGTANG VALLEY」の出版記念イベントに、「ヌーン」を設置。12月13〜15日に開催される同イベントでは「MIDNIGHT PIZZA CLUB」が旅の途中で撮影したネパールの写真が展示されるほか、上出遼平が旅先で収集した音源から制作したアンビエント・サウンドを「ヌーン」で聴くことができる。
サステナブル・マテリアルを活用
「ヌーン」は、海洋ごみや廃棄プラスチックを活用した再生素材、100%食品廃棄物を原材料とした自然由来の新素材、デニム端材をアップサイクルした左官材、コルクとウールの廃棄物からつくられたフェルトのような生地、再生材のアルミハニカムパネル、再資源化した人工砂を主原料としたセラミックス造形材、埼玉県南西部で間伐された未利用木材、スリランカで採掘された天然石の複合板、数十年掛けて生成される緑青を6時間で生成させた銅板など、サステナブル・マテリアルを活用してスピーカーを制作し、音響体験を通して素材の新しい価値観を生み出すことにチャレンジしている。
今回発表する初のプロダクトは建築物を思わせるような柱を意匠として施し、計9種のマテリアルを組み込んだ、帯域の異なる6つのスピーカー、真空管アンプなどの積層で構成。固有のストーリーや記憶を内包した筐体(きょうたい)から発する音が素材の特性を反映することで、素材の向こうにある風景、資源に目を向けるきっかけをつくる。さらに「ヌーン」は、スピーカーの筐体を構成するマテリアルを他素材に置換することも可能で、例えば地域や企業から排出される未利用資源や廃材を使った新素材を開発するなど、今後の展開も考えられる。「MIDNIGHT PIZZA CLUB Special Exhibition」での展示以外にも、さまざまな場所でポップアップ展示などを企画し、人々との接点を創出していく予定だという。
■「MIDNIGHT PIZZA CLUB Special Exhibition」
会期:12月13〜15日
時間:11:00〜18:30
会場:StandBy
住所:東京都渋谷区神宮前5-11-1