毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年12月16日号からの抜粋です)
大塚:3回目のリアルメンズトレンド特集です。2025年春夏の展示会の真っ最中にやる難しさもありつつ、今回は前シーズンの“グランパコア”のような分かりやすいトレンドがない……。むしろ25年もきっと猛暑だし、春が短いからファッションでどう涼しさを出すかが焦点になりそうだと考えました。今回はそのテーマで、どうスタイルを提案するかをさまざまなブランドやショップに聞くかたちでまとめました。
佐藤:国連が「産業革命時からの気温上昇を1.5℃までに抑えよう」という課題を掲げており、“1.5℃”という点にファッションの観点から着目して、気分や体感を1.5℃下げるぐらいのファッション提案というテーマを決めました。服装でいかに涼しくするか。展示会を回って目についたのは、トロピカルやボタニカルなどリゾートの雰囲気と、ウールや麻などの天然繊維を機能素材と捉えた活用です。
スタイリスト3人が提案をジャッジ
大塚:同意なのですが、ウィメンズほど新しいものが出てくるわけではないメンズは、スタイリングが最終の肝なんですよね。今回は井田正明さんのほかに、池田尚輝さん、内山晴輝さんのスタイリスト3人を巻き込んで、ブランドやショップ名を伏せて、どの提案がいいかを選んでもらいました。
佐藤:僕は内山さんが「春夏のファッションは軽過ぎてはいけない。重みと奥行きを演出するとコーディネートはオシャレに見える」と語っていたのが印象的でした。
大塚:各ブランドやショップの提案でズバリ一番いいと思ったのは?
佐藤:「ポール・スミス(PAUL SMITH)」です。イギリスの夏ってそれほど暑くないので、日本の夏服としては難しい、ということが時々あるんです。今回は、麻素材のジャケットやシアサッカーの開襟シャツなどに、英国的な要素が含まれていてすてきだなと感じました。大塚さんはどうでしたか?
大塚:自分でも意外だったのですが、僕は「五大陸」です。麻のジャケット&スラックスの、めちゃくちゃ正統派ドレススタイルの提案なのですが、素材感と色で涼しさを演出しており、大人っぽさもありました。あと、シアー素材。僕自身、肌見せには抵抗があるのですが、果敢に提案しているブランドがいくつかあり、好感が持てました。スタイリングで新鮮味が出せるので、シアー素材のアイテムに期待しています。